「地方の高校」にあえて進学する子どもの心情

島根・隠岐島前高の学生に見る進化

今の環境をリセットしたいという親や子どももいる。会場でも高校1年生の娘を転入させることはできないかと質問している母親を見かけた。聞くともなしに聞いていると「今のままでは……」と切羽詰まった雰囲気。残念ながら受験し直し、1年生からやり直すしか手はないようだが、何校も回って同じことを聞いていたのはよほど何かあるのだろう。

地域・教育魅力化プラットフォームの尾田洋平氏によると、「地域みらい留学を選択する生徒の中には今の環境を変えたいという層もいます」とのこと。コミュニケーションを取ろうとする人がいる環境では、問題の解決が図られることもあるそうだ。

「親の意識」を変えるには

動機はそれぞれだが、地方への留学に目をつけるのは大半が親だ。子どもに勧め、こうしたイベントに足を運び、さらに各校で開かれる見学会に参加と検討を進めていくそうだが、その意味から今後の広がりを左右する1つの要因は親の意識だろう。

現在は偏差値で輪切りにされる現状をよしと思わない、あるいは子どもの好きなことを軸に進学先を選ばせようという親が留学に関心を持っているようだが、おそらくこういう人は少数派だろう。世の中全般としては偏差値に重きを置く人が多いはずで、尾田氏は今後、そういう人たちも納得できる教育効果などのエビデンスが必要だろうと言う。

各校とも就職に加え、進学にも力を入れてきており、東大をはじめとする国公立や、難関私立大学の進学実績も出てきてはいる。それでも、都市の進学を中心に考えてきた学校に比べると地方の公立校はまだまだ。進学率のみならず、子どもたちの成長、それが人生に及ぼす影響なども含め、長い目で調査し、発信していく必要があるかもしれない。

一方で、2020年の大学入試改革が意識を変えるかもしれないという期待もある。考える力という点では、自ら問題解決に取り組んだ子どものほうが強いかもしれないのだ。偏差値は高くても仕事ができない人が少なからずいることを考えると、偏差値は大事だが万能ではない。都市の偏差値優先の教育以外が必要とされるのは世の必然なのかもしれない。

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