プレッシャーと友達になれ 宮里優作の優勝に思う

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新年おめでとうございます。今年が皆さんにとって良い年でありますように願ってます。

さて、私はと言いますと、今年も元気に現役を続けられるように、1月は2週間ほどハワイで体ならし、帰国すると鳥取で体のケア、2~3月はハワイや沖縄でボールを打つと同時に、ジュニア教室を開催、その子供たちの中から、できればオリンピック選手の誕生、なんて夢もありますが、今年もゴルフあっての一年でありたいですな。

今回お伝えしたいのは、昨年の日本シリーズ、宮里優作がやっと勝ちましたね。テレビの視聴率が、去年のゴルフ中継で最高の9.5%と聞いていますから、多くのゴルフファンが見てくれたようです。試合の内容は、優作が13アンダーで、2位の呉阿順に3打リードで迎えた最終ホール。東京よみうりカントリークラブの18番ホールはご存じのように、227ヤードのパー3、距離があってグリーンが難しい。ピンの上に乗せてしまうと下りのパットは3パットの覚悟が必要だ。とはいえ、優作は3打リードで、その18番を迎えたんだから、ダブルボギーでも優勝、安心して見ていてもいいんだが、ファンも本人も不安でいっぱい。鳴り物入りでプロ入りしたけど、長いこと勝てなかったのが原因ですが。

その18番、ティーショットでグリーン手前に落とし、寄せワンでパー、悪くてもボギーで優勝ともくろんだと思うけど、プレッシャーがそうはさせない。4アイアンで打ったボールはアドレナリンが出すぎたせいか15ヤードも余計に飛んで左のラフ、寄せるのが難しい所に行っちまった。案の定、アプローチがトップして、ボールは反対側のラフに、だが、これまでの努力が無駄じゃなかった。次のアプローチで報われ、チップインのパーで優勝。妹の藍ちゃんやご両親、それに優作の家族と抱き合って喜ぶ姿がゴルフファンに感動を与えました。

優勝のプレスインタビュー、「青木さんの一言が大いに役に立った」と言ったらしい。優作はね、大会2日目に80センチメートルほどの上りの易しいパットを外したんですよ。だから優作に「早めに外しておいてよかったね。そんな短いパットを外すのは、1試合で1回あるかないか。もうこの試合で出るはずがないよ」と言ったんです。

そんな当たり前の会話が、プレッシャーの中でプレーをすると拠り所になるんだね。優勝争いで、プレッシャーを感じない選手なんてどこにもいません。そのプレッシャーを克服するには、プレッシャーに慣れっこになればいいんです。

普段、アマチュアの皆さんと一緒にプレーするときも、試合と同じ心構え、プロは手を抜かないでつねに懸命にプレーするってことですよ。もともとうまい選手なんだから、優作がプレッシャーといいお友達になると、今年の大活躍は間違いないですな。

青木 功 プロゴルファー

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あおき いさお

1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エージシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。

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