バルサ流育成でヴィッセル神戸はどう変わる? アカデミー組織の育成メソッド確立も進める

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「アルベルトは総監督という立場でアカデミー全体を見ながら、実際に指導してくれたり、メソッドの修正を行ってくれています。一方、マルクはアカデミーのプレーモデル、原理原則、システム、サッカーの考え方、判断、技術、戦術の部分を一つひとつ体系化することに尽力してくれていて、コーチ研修も行ってくれています」

ここでベナイジェス氏に登場してもらおう。まず説明してくれたのは、テクニカルダイレクターという自身に課せられた役割だ。

総監督のアルベルト・ベナイジェス氏(編集部撮影)

「バルサのようなサッカースタイルをすべてのカテゴリーで行えるように、プレーモデルを構築すること。そして、構築したうえで、フィジカル的な要素をそこにどのように落とし込んでいくのかをレクチャーしています」

では、バルセロナのようなサッカースタイルとは、どのようなものなのか。

「全部話すと時間がかかりますが、簡単に言うと、クリエイティブなプレーを重視し、ピッチの幅と深さを生かし、ポジショニングをしっかり守りながら、ボールを前進させるサッカー。つまり、ポジショナルプレーをやっていくことがバルサスタイルです」

ポテンシャルを生かしきれていないという問題

昨年7月に現職に就いた際、ベナイジェス氏はヴィッセル神戸のアカデミーの選手たちの能力について、非常にポジティブな印象を持ったという。

「テクニック的な要素はすごく高いと思っています。さすがにメッシのような選手を見つけるのは難しいですが、クリエーティブという点ではすばらしい素質を持っている選手が多いと感じます」

一方で、問題も感じたという。そうした技術をいつ、なんのために、どこで使うのか、わかっていない選手が多いというのだ。その要因の1つに、トレーニングメニューがあるとベナイジェス氏は指摘する。

「戦術的な要素を落とし込んだトレーニングメニューが少ないと感じました。例えば、アップをしているときも、ボールを使わずにアップをして、トレーニングに入ることがあります。アップだって、フィジカルのトレーニングだって、ボールを使ってサッカーの要素を取り入れれば、戦術を学ぶことができるのです。そうしたトレーニングメニューのアドバイスや改善も、私の仕事になります」

FCバルセロナで1991年から22年間にわたってアカデミーで指導してきたベナイジェス氏にとって、育成で最も重視していることは、「勝つことよりも育てること」という哲学だという。

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