バルサ流育成でヴィッセル神戸はどう変わる? アカデミー組織の育成メソッド確立も進める

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インタビューに応じたヴィッセル神戸のアカデミー部部長、平野孝氏(編集部撮影)

「1カ月ほどの研修でしたけど、驚きの連続でした。すべてが壮大で、アカデミーにしても、規模がすごく大きいんです。

それに、トレーニングや指導方法がものすごくロジカルで、感覚でやっていない。

サッカーに関するプレーの原理原則が各年代でしっかり整理されていて、カリキュラムも細分化されている。

年代が上がれば、トレーニングの数も増え、内容も深まっていく。それを各年代でクリアしていくと、最終的にトップチームで活躍できるような選手になる、という一貫した育成体制ができているんです。しかも、それが言語化され、体系化されていました。こうしたことは、ヴィッセルでも確立していきたいなと。

僕はすべてのカテゴリーを見せてもらったんですけど、どのカテゴリーにもいわゆるバルサの8番タイプがいて、10番タイプがいるんです。彼はアンドレス(・イニエスタ)だね、(リオネル・)メッシもいるねって」

アカデミーはプロサッカー選手を育てる場ではあるが、ただ技術を教えればいいというわけではない。一流のプロサッカー選手になるためには、人間形成も重要である。その点で、とりわけ刺激になったのが「マシア360」というプロジェクトだったという。

一人ひとりの選手を360度あらゆる面からサポート

「バルサにはマシアという寮があるんです。そこではサッカーを教えるだけじゃない。立派な大人に成長させるために、20人以上のスタッフが選手一人ひとりを360度、あらゆる方面からフォローしているんですね。それで『マシア360』と言うんです。

アカデミーは午前中に練習して、午後から授業を受けるんですけど、バルサが教師を何十人も雇っていて、マシアの中で授業が行われるんです。食堂もすごくきれいで、栄養管理もしっかりされていました。マシアの1階は多目的ルームになっていて、大きなテレビや卓球台、ビリヤード台があって、リラックスできる環境が整っている。

一方、夜11時になると、Wi-Fiが切れる。携帯依存にならないように、しっかり睡眠が取れるように考えられているんですね。メンタルケアのトレーナーもいるそうです」

むろん、文化や教育の違いもあって、すべてをまねできるわけではない。お金を投資したからといって、すべてを実現できるわけではない。だが、ヒントを得て日本風にアレンジしていくことは可能だろう。

「今、バルサから学んだものをどう取り込み、どうアレンジするか模索しながら、変革を進めているところですが、なかでもサッカーに関する部分で大きいのが、アルベルト(・ベナイジェス)とマルク(マルコス・ビベス)の存在です」

FCバルセロナで育成部門の統括責任者を長らく務めたベナイジェス氏は、アンドレス・イニエスタを見いだした人物である。一方、カタルーニャ・サッカー協会でテクニカルディレクターを務めていたビベス氏は、トップチームのアシスタントコーチも兼任している。

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