セブンペイ「不正アクセス」が与えた深刻影響 期待のサービスが暗転、拡大目標に黄信号
船出から大きなダメージを受けたセブンペイだが、このサービスはコンビニだけでなくセブン&アイグループ全体にとって大きな意味を持つビジネスだった。
ペイペイや楽天ペイ、LINEペイなど、次々と新規参入者が現れるスマホ決済市場の中で、流通業界の中でいち早く参入したのがセブンだった。Suicaやnanacoなどを含めたセブン店頭でのキャッシュレス決済比率は現在35%だが、この比率を2021年末に50%まで引き上げる目標を立てている。
セブンペイ導入前までは、会計時にスマホ上に表示されるクーポンをスキャンし、その後代金をやりとりするという手間がかかっていたが、セブンペイ導入により、スマホを提示するだけでこうした手間が完了する。スマホ決済が普及すれば現金の取り扱いが減り、レジ作業の効率化にもつながる。7月1日のサービス開始当初、セブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長は「顧客への利便性提供と店の負荷軽減を進める」と語っていた。
グループのデジタル戦略の見直しを迫られる
全国に2万0965店もの店舗網を張りめぐらせ、1日あたり2200万人が来客するセブンにしてみれば、利用者を増やすことで、購買データをもとに顧客の好みに合わせたクーポンを安価に配信することができる。また、他社の決済手段を使う場合には決済手数料を支払う必要があるが、自社グループのスマホ決済を利用してもらえれば、そうした負担もなくなる。
7月1日に同じくスマホ決済サービス「FamiPay(ファミペイ)」を始めたファミリーマートでは、短期貸付や保険、投資などの新たなサービス展開を見据えている。詳細は未公表ながら、セブンでも同様の展開が考えられる。
また、2019年10月にはセブンペイとしてのアプリを配信し、グループ以外でもセブンペイを利用可能な場を作る計画だった。2020年春以降にはイトーヨーカドーやそごう西武などのグループ企業のアプリでもセブンペイ機能を搭載する予定だった。
期待の新サービスが問題を起こしたことで、グループ全体のデジタル戦略は見直しを迫られる。セブン&アイHDのデジタル戦略部の清水健執行役員は「7月からセブン各店で(おにぎりの無料クーポン配布などの)キャンペーンを進めており、会員数増加を期待していたが、期待通りに進まない可能性がある」と話す。
セブンは2021年末のキャッシュレス比率50%の目標やクーポン配信などに500億円を投下する計画などに変更があるかどうかについて、「決まっていない」とするのみ。セブンペイはいきなり、消費者の信頼を獲得する必要に迫られることになった。
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