デキる人は「仕事上の矛盾」をスルーしている 孫正義社長から学んだ"ゆるふわ"な仕事術
僕の周囲で圧倒的に仕事ができる人は、矛盾問題を解決しようとせず、むしろ受け入れながら先に進みます。
例えば、1の説が正しいのか、2の説が正しいのかを熟考せずに、「もう1と2両方やろうぜ」と言ったりします。
たとえ1と2はロジカル的には真逆のことであり、普通は同時にやるようなことではなかったとしても、「いいじゃん、やってみようよ。どっちが正しいかわかんないんだから」という姿勢です。ベンチャー界隈だと、このような「チャレンジしよう」という思考の人がたくさんいます。
チャレンジは「成功確率は低いかも」ということに突っ込もうとする精神なので、ロジカル思考だと何事も「やらないほうがいい」という結論になってしまいます。
会社経営でも「理念」や「ビジョン・ミッション・バリュー」を作って、コミュニケーションや意識の整理を図ろうとすると、とかく矛盾が生じてしまいます。そして「会社理念では『社会のために』って言ってるじゃないですか! 今やってるこの課金ビジネスって社会のためになってるんですか?」といった疑問が現場社員からあがってきます。人間社会では難しい問題を整理・簡略化して、人にうまく説明したがるものです。
ただ、実際の世の中はそんなに単純ではありません。こういうときはロジカル思考を捨てて、「矛盾してるけど、しょうがないからやるか」「どうせ矛盾してるから、テキトーにとっととやるか」ぐらいの思考で物事を進めてしまうほうがムダなストレスを抱えずに済みます。
一方で脳の筋トレをする
とはいえ、自分の頭で考えない“手抜き思考” ばかりしていると脳の筋肉が衰えてしまい、いざ考える仕事という強敵に立ち向かうときに大敗を喫してしまいます。
ですから、経験を積めば積むほど、脳の筋トレは工夫していくべきです。
僕が身近な人で最も思考力が高いと感じたのは、冒頭でもエピソードをご紹介したソフトバンクの孫社長です。Yahoo!BBは、どう考えても無理筋なプロジェクトでした。それを全員が反対するなか、孫さんだけが「絶対にやる」と信じていました。それは一般人では考えつかないほどの思考ができていたからに違いありません。
孫さんは小さい頃から脳が鍛えられているので、「脳がちぎれるほど考えろ!」と怒鳴っていましたが、一般人にはそれがなかなかできません。「筋トレしていないのに、重量級のバーベルを上げろ」と言われているようなものです。
では、孫さんはどうやってこの脳の筋力を鍛えていたのでしょう。孫さんが19歳のときに「1日5分だけ集中思考する」ことを毎日やっていたということは有名です。
海外留学中で勉強が多忙だった頃、5分だけ時間を捻出し、そこでビジネスアイデアを考えたそうです。毎日ストップウォッチを取り出し、必ず5分で終わらせる。1秒たりとも時間延長は許さないという、自分に厳しいルールを課していたようです。
当時「世界でいちばん勉強していた」と豪語されており、そんな勉強の最中の「限られた5分」でした。
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