自己肯定感とは、辞書によれば「自分の存在や価値を肯定できる感情」という意味ですが、もっとわかりやすく言えば「今のままで十分価値があることを認める」ことであると筆者は捉えています。つまり、自己肯定感が低い人は、現状の自分を否定し、“頑張って”よりよいあり方へと努力する中で、そこに至らない現在の自分に価値がないと決めつけてしまっている状態なのではないでしょうか。
しかし「今のままで十分ですよ」と言われても、なかなかそう思えるものでもありません。そこで、もう少し具体的に方法を考えてみます。それは「言葉」を使う方法です。
人は、言葉一つで人を励ますこともできますし、潰すこともできます。これは何も面と向かって相手に伝えるときだけでなく、自分自身に向かって使っても影響を与えるものです。
通常、言葉のやり取りは相手あってのことですが、発せられる言葉は、同時に自分の耳に入っているということを忘れてはいけません。そうであるならば、これを利用しない手はありません。つまり、親は“自分に対して”ある言葉がけをしてみるのです。
そうすると自分の耳に入ると同時に、それを聞いた子どもの耳にも入ります。しかも子どもに伝えるという意識がない分、子どもは抵抗なく無意識に“聞いて”しまいます。副次的効果もあるわけです。
そこで、親御さんは「言葉を使って自分を満たしてしまう」ということをやってしまいましょう。ではその言葉を3つ紹介します。大した言葉ではありません。極めてシンプルですが効果的な言葉です。
【親の自己肯定感を引き上げる「3つの魔法の言葉」】
◆「楽しいね〜」
事あるごとに「楽しいね〜」という言葉を発してみましょう。楽しさというものがより強く実感できる場合があります。
楽しくもないのに「楽しいね〜」とつぶやくのは抵抗がある……。そんな場合は、「どうすれば楽しくなるかを考える」といいでしょう。事実は1つでも、見方、考え方一つで楽しくなっていくもの。例えば筆者は、次のような内容をよく企業研修でお話ししています。
「毎日、お茶を出すだけの仕事をしている社員がいました。この社員の仕事はそうワクワクするものではないかもしれません。ただお茶を出すだけなのですから。
しかし、ここである“超人的な発想”を持つ人がお茶を出す担当になりました。その人は、このように考えました。『私が出したお茶で、<このお茶美味しいね〜>とお客さんの口から言わせてみせる』と。その日からその人は、お茶の入れ方、出し方、接客の仕方について研究をすることにしました。そうしてお茶を出す一つひとつの作業が、その人にとってのチャレンジであり、楽しみになったのです。
お茶は一例ですが、こういう人は、はたから見て、明らかに“違う人”です。『お茶担当にしておくのはもったいない人』と認識されるようになり、昇進、抜擢されていくものなのです。おそらく豊臣秀吉はこのようにして出世したでしょうね」
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