最近、「SDGs」や「RE100」という言葉を耳にする機会がかなり増えている。両方とも後程詳述するが、前者は「Sustainable Development Goals」の略で「エス・ディー・ジーズ」と読む。日本語では「持続可能な開発目標」だ。
また後者は、簡単に言えば「企業活動に必要な電力は100%再生可能エネルギーで賄おう」という国際的な活動のことだ。世界では最近、企業や自治体でこの2つの流れに対応しようとする動きが本当に活発だ。しかし、日本では「どこから手をつければいいかわらない」という声も少なくない。筆者は「やるなら、まず本社ビルや役所のビルの断熱化から始めるのがいい」と思う。目指すは、「ゼロエネルギービルディング化」である。
日本企業は環境に対して「勘違い」が多すぎる
さすがに、最近は日本企業でも環境に対して積極的に取り組む都市や企業が増えている。そのことはとても歓迎すべきだ。もはや世界が化石エネルギーを使わず、再生可能エネルギーにシフトしていく方向に舵を切っているからだ。だが日本ではその普及が遅れているだけに、現実離れした対応を取ってしまい、とんでもない顰蹙(ひんしゅく)を買うことも少なくないのだ。では「どんな点で勘違いしがちなのか」。今回はこれを解説していきたい。
その前にまずは、前出の2つも含め、企業や自治体が取り組んでいる「3つのカテゴリー」の解説から、改めてさせていただきたい。
すでに聞いたことのある読者も多いと思うが、
S=social(社会)
G=governance(ガバナンス)
である。世界の投資家にとって、干ばつや洪水などの気候変動はリスクでしかない。気候変動が起こらなかったら、通常の利益が出ていたはずなのに、それが難しくなる。災害を防ぐにはどうしたらよいか。大きな気候変動を止める必要がある。そのためには二酸化炭素を大量に放出する化石エネルギーに頼っていてはいけない。
簡単に言えば、再生可能エネルギーへの変換を進める必要がある。それも相当な速度で。だから、いくら効率がよくても、二酸化炭素を出してしまう石炭火力発電は是とされない。日本では石炭火力の改良型など、個別の性能に言及したがる関係者もいるが、ここではその存在自体が悪と考えたほうがいい。
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