2018年は猛暑や台風や集中豪雨で大変な年だった。温暖化による気候変動が1つの原因だろう。
2015年に「パリ協定」が発行し、地球温暖化防止に積極的に日本も参画していくことを決めた。それを受けて 経済産業省は日本の温室効果ガス(二酸化炭素、以下CO2)削減目標を「2030年は2013年比で26%削減」と定めた。また、達成するためにこれをさらに「5つの分野」に分け「分野別の削減目標」として、別図のように決めた。
今の生活と比べて40%もCO2を削減できるのか?
他の3つの分野はさておき、「業務」(住宅以外の建物)と「住宅」の2つの分野は26%ではなく40%削減という厳しい削減が求められることとなった。理由は図を見ると明らかだ。1990年の実績から2013年になるまでの間、産業分野は減っているにもかかわらず、業務(住宅以外の建物)や家庭分野はCO2の排出量を増やし続けているからである。
40%の削減は、1次エネルギーにさかのぼっての削減なので、大変厳しい数字にも思えるが、逆に言えば「1990年以前のエネルギー消費レベルに戻せばいい」とも言える。今まで、規制がまったくなく野放しにされてきた分野なので、それを目標にしようという方針も理解できる。
ちなみに「40%削減する」ということは「今までと同じエネルギーを使っているのであれば、単純にそのくらい削減しなくてはいけない」ということを意味する。今まで使っている電気やガスを40%カットする暮らしを私たちは想像できるだろうか。それをこの数字は課しているのである。
もちろん、これは今から建てられる新築の建物だけの話ではない。今住んでいる私たちの暮らしにも適用される数字である。 実際、世界はこれに向けて、大きく動いている。ただの理想ではない。そうするための技術革新がビジネスチャンスであり、立ち向かうべきチャレンジなのだ。
これに失敗すると、2018年夏のような気候変動による災害の多発、あるいはカリフォルニアで起きているような山火事など、多くの財産が失われかねない。実際、保険など災害リスクを減らしたい金融は、ESG投資やSDI(サステナブルデべロップメント投資)といったことに本腰を入れている。 地球温暖化防止に関する行動計画が経済活動にも直結しているのだ。
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