「省エネルギーの潮流」から取り残される日本 ついに中国や韓国よりも遅れてしまうのか

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一方の日本はだいぶピンボケである。石炭そのものが疎んじられているのに「CO2排出量を減らした石炭火力」の有効性を、COP(気候変動枠組条約締約国会議)で発表して、「化石賞」という不名誉な賞をもらってくる始末なのである。

なぜドイツでは「CO2フリー」の建物ができるのか?

すでに世界の潮流は先を行っている。 ドイツでは、電力における再生可能エネルギーが31.6%(2015年日本は12.6%「自然エネルギー白書2015」)となり、2050年までに80%に引き上げようとしている。また建物に関しては、2020年前後にすべての新築建物のカーボンニュートラル化(つまりCO2を一切出さない)が義務づけられる。

「そんなことができるのか?」と言われるかもしれない。だが、できるのである。ドイツは風力発電も太陽光発電も盛んだが、それだけでこれらを可能にしているわけではない。実は建物で使うエネルギーを徹底して減らしてきたことによって、エネルギーの消費自体が減っているのである。

では具体的に、建物のエネルギーはどうやって減らせるのだろうか。ひと言で言うと、いったん温めた室温をずっとキープできるように、建物を高断熱化するのだ。これにより、エネルギーを使わなくても快適な建築が増えた。以前の記事「日本はEV化の超重要な流れをわかっていない」で書いた、自動車のEV化の話もこれに関係する。

ドイツなどの建物では、断熱化がうまくいったおかげで、エネルギーが必要なくなった。その結果、社会全体で余った電気を、なかなかカーボンニュートラル化が進まないほかの分野に広げようとしているのが、EV化である。

ほかのヨーロッパも社会全体でこの問題に取り組んでいる。なにせ、ヨーロッパは電気エネルギーという点では、1系統(日本はいまだに10系統)なので、連動してくるのである。 これはヨーロッパに限った話ではない。アジアも同様だ。

さすがに大国である中国はまだ国際的に発言していない。だがパッシブハウスの研究所を作り、着々とその歩を進めている。中国にとってエネルギー問題は死活問題だ。太陽光発電を増やしている(原発はストップしている。コストが合わないからだ)。

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