生ける屍「ゾンビ」の奥深さを知っていますか

実は長い歴史を持つ、蘊蓄100章で徹底解説

いまやホラー映画では鉄板となっている「ゾンビ」。その軌跡をたどると、意外な起源がありました(写真:inhauscreative/iStock)
モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。ちょいと一杯に役立つアレコレソレ。「蘊蓄の箪笥」をお届けしよう。
蘊蓄の箪笥とはひとつのモノとコトのストーリーを100個の引き出しに斬った知識の宝庫。モノ・マガジンで長年続く人気連載だ。今回のテーマは「玩具」。意外と知らない基本中の基本から、あまり知られていない逸話まで。あっという間に身に付く、これぞ究極の知的な暇つぶし。引き出しを覗いたキミはすっかり教養人だ。

01. 「ゾンビ」とは、何らかの力によって死体から蘇った人間の総称。〈生ける屍〉とも表現されることがある。

02. 小説、映画、ゲーム等でホラーやファンタジー作品に登場し、腐敗死体が歩き回る形で描写されることが多い。

03. ゾンビという呼び名は、コンゴで信仰されている神「ンザンビ(Nzambi=不思議な力を持つ者)」に由来する。

04. それが15世紀以降の奴隷貿易によって中米や西インド諸島に伝わり「ゾンビ」に変化したといわれている。

05. ゾンビの起源は、西アフリカのベナンやカリブ海のハイチ等で信仰されている民間信仰・ブードゥ教にある。

06. ブードゥ教には教義、教典、教団がなく、踊りや動物の生贄、神が乗り移る神がかりといった儀式からなる。

07. 目に見えない霊魂を信じる信者にとって儀式は神聖だが、なかに「ボコ」と呼ばれる司祭の伝承がある。

08. ボコは〈呪術師〉と表現されることもあるが、死体が腐敗する前に墓から掘り出し、死者の名を連呼する。

09. その呼びかけによって死体が蘇ると、起き上がった死体の両手を縛り、農園や工場に使用人として売り渡す。

10. 死体の魂はボコによって壺の中に封じ込められ、以降、蘇った死体は奴隷として永遠に働き続けるという。

11. そのため家に死者が出ると、家族はゾンビにさせないよう埋葬後36時間は見守りを続けたといわれている。

12. 他にもボコへの抵抗策として、死体に毒薬を施したり、切り裂いたり、死体に刃物を持たせたりしたという。

13. 刃物を持たせるのは、死体が蘇り起き上がってしまった場合、ボコを一刺しできるようにとの配慮であった。

「死体の蘇り」は現代でも目撃談がある

14. 死体の蘇りは農民による〈伝承〉にすぎず科学的根拠は一切ないが、ハイチ等では現代でも目撃談が語られる。

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15. 人類学者ローランド・リトルウッドの調査によると、1977年にも「死んだ息子を市場で見た」報告があった。

16. しかし、その息子とされた人物を医学的に検査したところ〈死んだ〉形跡はなく、他人の空似と判明。

17. ローランド・リトルウッドはハイチでの詳細なデータ収集の結果、ゾンビの存在を全否定している。

18. また1920~40年代に活躍した民俗学者ゾラ・ニール・ハーストンらは「ゾンビ化は社会的制裁」と推論した。

19. 嫌われ者や結社内の掟を破った者に社会的制裁を加えることで〈社会的死者〉として扱う=ゾンビ化と主張。

20. 伝承では墓に埋められた死体が蘇るが、実際の対象は生物学的死者ではなかったのではないかと見立てた。

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