なぜ「すごすぎる母」ばかり、記事になるのか 「ワーキングマザー・サバイバル」最大の謎

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仕事の優先順位を上げすぎると、そのツケは子どもに回って来るのではないか。そう悩むワーキングマザーは、彼女だけではないだろう。

彼女の本音には、深く共感してしまう。

荷が重過ぎる

では、ワーキングマザーは、どんな働き方をすれば、ハッピーになれるのか?

それは、時短で働き子育てに軸足を置くことか? あるいは、全力で会社にフルコミットして働くことか?

また、ワーキングマザーばかりがハッピーな働き方を実現しても、子どものいない社員や子育てを終えた社員が、そのしわ寄せを被り不幸になるのでは、絶対におかしいし、ワーキングマザーもバツの悪い思いをするだけだ。

どうすれば、子どもを産んだ女性、あるいは子どもを産まない選択をした女性、これから子どもを作ろうとする女性、そして男性社員たち、みんなが、共生し、協力し合えるのだろうか?

この問題を、ワーキングマザーの個人の努力で、乗り越えるのは荷が重すぎるし、はなからムチャだ。

子育て中の社員に限らず、老親を介護中であるなど、今、どの会社もさまざまな家庭責任を抱える社員が増えている。また、今までのように男性社員が妻にそうしたすべての家庭責任を押し付けて、自分は仕事に邁進すればいいという時代ではない。

これからの組織は、従業員のライフイベント(結婚・出産・介護など)に柔軟に対応する風土に、本気になって、変えていくべきだと思う。

たとえば、りそな銀行は、子育て中の社員がいったんパート社員となり、その後、また仕事量を増やしたければ、社員に戻れるという制度がある(しかも、同一労働・同一賃金の考え方が導入されているため、社員と非正社員とで時給は変わらない)。

また、オラクルのように、テレワーク(在宅勤務)を認めるなど、社員のプライベートにコミットした柔軟な働き方が認められれば、女性をはじめとする従業員が、もっと充実したキャリアを歩めるに違いないと思う。

一時期、子育てに注力することで、たとえ一時的に、一線から退いたとしても、子育てがひと段落した後、再び、一線に戻るチャンスが与えられる会社――。つまり、社員のライフイベントに応じて会社に出たり入ったり、仕事のペースを上げたり下げたりができる会社。

そんな組織なら、どんなライフスタイル、生活状態にある社員でも、仕事にやる気が持ち続けられるのではないか。

ただし、筆者がインタビューさせていただいたときに上野千鶴子先生がおっしゃっていたとおり、こうした柔軟な働き方を推進するためには、従業員一人ひとりの責任範囲や評価基準が明確なことが前提となる。

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