なぜ「すごすぎる母」ばかり、記事になるのか

「ワーキングマザー・サバイバル」最大の謎

今、各企業の人事担当者や現場の長の方とお会いすると、以下のような悲鳴に近い声をよく聞く。

同じ部署内で育休を取得する社員が同時期に何人も出るケースが増え、かといって会社はその穴を埋める要員は都合してくれない。既存の部員で彼女たちの不在をカバーしているため、社員の業務量が増え、不満が噴出している。

育休から復帰した後も、短時間勤務制度を取得するワーキングマザーが多く、通常の社員1人分の戦力として機能しない。

結婚しない社員や子どものいない社員が、ワーキングマザー社員の仕事をフォローしているケースが多く、両者の対立が止まらない。

などだ(以上の内容に、筆者は同調しているわけではない)。

こうした、“問題”を、多くの企業は、ワーキングマザー社員、個々人の“努力”で、解決してほしい――。もしかしたら、そう考える企業が多いのではないか。

家事育児にかける負担は、夫婦で分担する、あるいは双方の親や、地域のファミリーサポートなどを活用して乗り切ってほしい。その分、仕事に注力してほしい……といった具合だ。

実際に、上司がワーキングマザー社員と面談して、親や夫の育児協力を仰ぐよう誘導する、あるいは、それとなく、時短取得社員に時短をやめさせるなんて話はよく聞く。

一方、多くのワーキングマザー社員は、そんな“誘導”に、動揺してしまう。

ところで、われわれは、昨年秋、ある大手IT企業の女性社員の会議にお呼ばれした。当連載を熱心にお読みいただいているある会社の女性社員の皆さんが、筆者たちに、連載を始めたきっかけや取材を通して印象的だったエピソードなどを話してほしいと招いてくださったのだ。

その場で、皆さんとおしゃべりし、筆者の心に突き刺さったのが、こんなママさん社員の一言だ。

「ワーキングマザー・サバイバルに登場するすごすぎるお母さんたちは、皆さん、子どもの教育問題に悩んでいませんでしたか? 私は、仕事に注力することが、子どもに犠牲を強いることにはならないかと、そればかりが心配で仕方がないのです……」

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