「社員は家族です」という経営者の甘え 会社はあくまでも「取引先」でしかありません。

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養子縁組であるとか勘当のような例外はあるにせよ、基本的に家族はずっと家族です。

磯野家の家計状態が悪化したからといって、磯野家を辞めて家計に余裕がありそうな中島家の家族にしてもらおう、というわけにはいかないのです。問題が発生したら、家族は団結してその解決にあたらなければなりません。

これは、会社が社員を「家族」と呼ぶ場合にも、そのままあてはめられてしまいます

会社の業績が悪化しているのであれば、「家族」である社員は一丸となって、会社を立て直すために各自必死に働くことが求められます。

緊急事態ですから、プライベートなんて二の次です。間違っても「未来のない会社にはさっさと見切りをつけて転職しよう」なんて考えてはいけません。家族なんですから、会社が潰れるなら潰れるそのときまで、会社のために尽くし続けなければならないのです。

「社員は家族」と考えることは、社員を家族のように大事にするという一方で、会社が危ないときには社員に会社と運命を共にすることを強要しているということでもあります。

日本経済が右肩上がりで成長していた時代だったら、会社と一蓮托生でも幸せになれたかもしれませんが、今やどんな大きな企業であっても将来のことはわかりません。そんな時代に、運命共同体として会社と緊密な関係を築いてしまうのは、ものすごく危なっかしいと感じてしまうのは僕だけでしょうか。

会社はあくまで「取引先」、状況次第でいずれ別れるときもくる

これからの時代、会社との付き合い方は冷静に考える必要があります。

時には会社にコミットするのもいいでしょうが、それでも自分の中のどこかには、会社と自分の関係を客観的に判断する視点を持ち続けるべきです。第2回でも書いたように、自分はあくまで「雇われにすぎない」ということを忘れてはいけません。会社の将来が危ないのであれば、経営者と同じようにプライベートを返上してそれを立て直そうとするのではなく、新しい働き先を探すようにしたほうがはるかに健全です。

お勧めなのは、勤め先の会社を「取引先」だと考えることです。自分を個人事業主であると仮定して、今の勤め先の会社と取引をしているのだ、と考えながら働くようにすると、会社と適切な距離が保てるようになります。

もちろん「取引先」とは誠意を持って接しなければなりませんが、それでもずっと運命を共にする必要はありません。時間が経てば、お互いに状況は変化します。お互いのためにならないと思ったら、そのときは別々の道を行けばいいのです。

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