「社員は家族です」という経営者の甘え

会社はあくまでも「取引先」でしかありません。

相手を「身内」だと思うことから甘えが始まる

「社員は家族です」という考え方に賛成できないのは、このような考え方によってどこまでも社員が「身内扱い」されてしまう点にあります。

実際の家族でもそうですが、「身内」にはどうしても「まあ、いいか」という甘えの気持ちが出てしまうものです。

たとえば、あまり楽しい例ではありませんが、子供が親の財布からおカネを盗んで遊びに使ってしまったとします。これが親子の関係でなければ、ただちに警察に届けて犯人を逮捕してもらいたい、という話になると思うのですが、盗んだのが「身内」の場合は、ここまで厳しく追求しようとはあまりしません。盗みを働いた子供も、相手が親という「身内」だからおカネを盗ったのかもしれません。

相手が「身内」だと、相手が「他人」の場合に比べて、約束やルールを守ることについての意識が緩みがちになってしまいます。

これは会社と社員の場合であっても、同じです。

社員を「身内」のように考えていると、「今は会社が大変なときだ、だから残業代を払うのは勘弁してほしい」であるとか、「このプロジェクトがコケると会社が傾く、悪いがこれから1カ月、休みはないと思ってくれ」といったような、約束の範囲を超えたむちゃな要求が飛び出すようになります。

本来であれば、「残業代は払えない」であるとか「1カ月は休みなく働いてくれ」というのは、完全にルール違反です。会社には社員にそこまで要求する権利はありませんし、社員も別にそんな要求に応えなければならない義務はありません。それでもこういうむちゃな要求をしてくるのは、「身内」だから多少のルール違反でも大目に見てもらえるのでは、という甘えがあるからではないでしょうか。

「社員は家族です」という言葉は、裏を返せば「身内なんだから、多少のむちゃや約束破りも大目に見てよ」ということでもあるわけです。

「社員=家族」なら社員に会社から逃げ出す自由はない

「社員は家族」という考え方が大きく問題になるのは、会社の業績が悪くなってしまったときです。

家族は基本的に、辞めることができません

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