日本酒作りに応援資金を出す人が急増した理由 サイバーエージェント傘下のマクアケが支援
日本人の“日本酒離れ”が進んでいる。清酒の販売数量は20年以上右肩下がりだ。日本酒造組合中央会によれば、2017年度の清酒販売数量が53.3万キロリットルとなり、20年前の約半分の水準。チューハイやワイン、ハイボールなどに押され、特に若い世代の支持を得られなくなっている。
日本酒業界も手をこまぬいているわけではない。活路を見いだしたのが、「クラウドファンディング」だ。もともとは創業間もないベンチャーや個人が、新商品開発などのためにネット上で資金を募り、支援者には完成した商品などの特典が届くというサービスである。
新たな「ネット通販」となる可能性も
今年4月、サイバーエージェント傘下のクラウドファンディング運営企業・マクアケは、同社のサイト上で資金調達を実施した日本酒の酒蔵数が100を超えたと発表した。全国には約1400の酒蔵があり、その1割に迫る規模だ。日本酒関連プロジェクトの支援者数は延べ2万5000人ほどで、合計調達額は2億5000万円以上となっている。マクアケはプロジェクトに集まった支援額の20%を手数料として受け取る。
「酒蔵の皆さんの話を聞いていると、日本酒は実際に飲んでもらわないとこだわりや特徴が伝わりづらいということがわかった。マクアケのページでは動画や写真、文章でストーリーを示すことで、そうしたものを伝えられる」。マクアケ共同創業者の坊垣佳奈取締役はそう話す。
マクアケで日本酒のクラウドファンディングが増えるきっかけとなったのが、千葉県の酒蔵、飯沼本家が醸造した日本酒「酒々井の夜明け」のプロジェクトだ。目標金額100万円に対し、1059万円が集まった。カギとなったのが、その年の初物の純米大吟醸を「日本酒ヌーボー」というキャッチコピーで売り込んだこと。ワインの「ボージョレ・ヌーボー」をヒントに、マクアケ側が助言をしながら打ち出し方を決めたという。
坊垣氏は、「いわばネット通販(EC)の新しい形。売っているものは基本的に世の中に流通しておらず、評価はない。リスクを取って”応援”をするという要素や、誰も持っていないものを自慢したいという消費の感覚もある」と、クラウドファンディングの可能性を強調する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら