日本酒がワイン大国「フランス」に攻め込む理由 総輸出金額ではわずか1%にすぎないが…

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昨年、パリで開催された「Kura Master(クラマスター)」という日本酒コンクール(品評会)の様子(写真:クラマスター協会)

日本酒やビール、ウイスキーといった「日本の酒」の世界進出が止まらない。財務省の貿易統計によると、日本の酒の2018年海外輸出は数量が1億7000万リットル、金額にして600億円を突破。数量、金額ともに過去最高を更新した。この10年間で、どちらも4倍にまで拡大している。

カテゴリー別では輸出金額のトップは日本酒で、2018年には前年比19%増の222億円だった。次いでウイスキーが約150億円、ビールが約130億円と続く。10年前は日本酒76億円、ビール30億円、ウイスキー14億円という順だった。

最大輸出先はアメリカ

ビールとウイスキーはもともと海外でもなじみがあるが、数字で表われているように、日本酒もいっそう広がりを見せている。背景には、世界的な日本食ブームの中で日本食レストランが増え、そこでの取り扱いが増えていることがある。

日本酒の最大輸出先はアメリカで、3割弱を占める。そして、韓国や中国などアジア圏が続く。これらの地域を合わせると輸出シェアは7割を超える。アメリカとアジア圏では、和食レストランの数は合計9.4万店と、3年間で実に1.3倍となっている(2017年10月時点、経済産業省調査)。

和食レストランの拡大という追い風が吹く一方で、一部の日本酒の蔵元の間では「和食ブームに頼らない海外展開」を狙う動きもある。その象徴とも言える存在が、2017年5月からフランスで開催されている「Kura Master(クラマスター)」という日本酒コンクール(品評会)だ。

このコンクールは、「フランスにおけるフランス人によるフランス人のための、日本酒のコンクール」を標榜する。運営主体のクラマスター協会はパリ市公認の非営利組織で、審査員もフランスのレストランやホテルに務めるフランス人ソムリエが顔をそろえる。

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