日本酒がワイン大国「フランス」に攻め込む理由 総輸出金額ではわずか1%にすぎないが…
2回目のコンクールが開催された2018年5月には、中小の蔵元を中心に257蔵が参加した。全国にはおよそ1400蔵があるため、全国の蔵元の約2割が参加したことになる。3回目のコンクールも今年5月に予定されている。1月末から申し込み受け付けが始まり、すでに300蔵の参加が見込まれている。
同コンクールが輸出のターゲットに見据えるのは、もちろんフランス。とはいえ、日本酒のフランスへの輸出金額は3億円程度(2018年)。10年前に比べて3倍以上に増えているものの、日本酒の総輸出金額のわずか1パーセントにすぎない。輸出先の国別ランキングでは、16位と下位に位置する。なぜ、日本酒の蔵元はフランスを目指すのか。
ワインとの類似性
複数の関係者は、フランスでは日本酒の潜在需要が高いことを強調する。「日本酒は、製造された地域の気候や風土によってさまざまな個性が出る。ワインと同じように、フランス料理の食中酒として浸透するポテンシャルがある」。パリの五つ星高級ホテル「ホテル・ドゥ・クリヨン」でトップソムリエを務める、コンクール審査員長のグザビエ・チュイザ氏はそう語る。
最近は、ホテル・ドゥ・クリヨンはもちろんのこと、ほかの多くの星付きホテルやレストランで「日本酒の導入が進んでいる」(同)という。
また、クラマスター運営委員長の宮川圭一郎氏は、日本酒が合うシンプルな味付けの料理がフランスで増えていることを説明する。「フランスでも日本のように健康志向が進み、バターや生クリームなどこってりした食材を使う量や頻度が少なくなってきている」。
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