アサヒ、「スーパードライ」低迷で迎えた転機 ドライ出荷量が1億箱割れ、打開策はあるのか

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縮小
2017年はスーパードライ発売から30周年の節目だった。多数の派生品を投入したが、出荷量は29年ぶりの1億箱割れという結果になった(撮影:ヒダキトモコ)
「スーパードライ」の発売から30周年の節目だった2017年。年初には出荷増を見込んでいたが、結果は29年ぶりの1億箱割れに。夏場の天候不順の影響はあったが、「ブランドの再強化」という課題が鮮明になった。ビール販売トップのアサヒビールは、2018年を「ビール改革元年」と位置づける。ビールの定義変更などを活用し、縮小傾向にある市場を盛り上げることができるか。アサヒグループホールディングスの小路明善社長を直撃した。

「日本のビールは各社どれもおいしい」

――スーパードライの出荷量が1億箱を割りました。率直にどう受け止めましたか?

ボリュームにはこだわっていない。事業会社であるアサヒビールの平野伸一社長にも気にしなくていいと言っている。重要なのは収益性。縮小市場で1億箱の出荷を死守しようとすれば、多額の販促費用がかかる。そんな無謀なことをする必要はない。

アサヒグループホールディングスの小路明善社長は「ボリュームにはこだわっていない」と強調する(撮影:今井康一)

今後は業務用の瓶や居酒屋向けの樽に比べ、採算がよい家庭向けの缶を強化できるかが重要だ。そのためには、「スーパードライ」のブランド力の向上が欠かせない。昨年5月には、取り込めていなかった若年層に照準を定め、スーパードライの派生品「瞬冷辛口」を期間限定で発売した。売れ行きが好調だったのを受け、今年の3月に通年商品として再発売した。

われわれの商売は嗜好品ビジネス。日本のビールは各社どれもおいしい。その中で販売量に差がつくのは、付加価値の提案ができるかどうかが大きい。瞬冷辛口は、飲食店でしか味わえない冷涼感やのどごしを家庭で再現するコンセプトで発売した。こうした特長を打ち出していく必要がある。

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