アサヒ、「スーパードライ」低迷で迎えた転機 ドライ出荷量が1億箱割れ、打開策はあるのか

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──2026年に向けた酒税法の改正でビールは段階的に減税されることになりました。

4月中旬に発売する柑橘風味のビール「アサヒ グランマイルド」(記者撮影)

収益性を考慮すれば、減税分以上に安くすることはないが、1缶2円、3円の値下げで市場は活性化しない。いずれにせよある程度、価格を下げることは間違いない。ビールが手頃な価格になれば、家庭での消費は増える。価格戦略は各社の探り合いになる。

新ジャンルは増税されるが、ビールとはそもそもの製造原価が異なる。低価格市場も残り、二極化がより鮮明になっていくだろう。

柑橘系は別ブランドで展開

──4月からはビールの定義が変更され、これまで使用できなかった果実などの副原料が使えるようになります。

小路明善(こうじ・あきよし)/1951年生まれ。1975年にアサヒビール入社。人事戦略部長などを経て、2011年に同社社長に就任。2016年3月から現職。2018年3月からCEOも務める(撮影:今井康一)

定義変更を受けて、柑橘(かんきつ)風味のビールの新ブランド「グランマイルド」を立ち上げた。減税によってビール消費が回復してくると同時に、バラエティのあるビールの需要も増えていくと見ている。お酒は好きだけどビールは苦手だという方々に訴求していくことで、新たな市場を創っていきたい。

柑橘風味のビールは、スーパードライのコンセプトから外れる。何でも派生としてしまうと、スーパードライの立ち位置がわからなくなる。派生品として展開していい範囲とダメな範囲がある。柑橘系については別ブランドで出すほうがいいと判断した。

──小路社長の役職をCOO(最高執行責任者)からCEO(最高経営責任者)に変更してCOOは空席とします。狙いは何ですか?

これまではCOOとCEOがいることで意思決定に時間を要していた。ここ数年、欧州で大型買収にも踏み切った。経営のグローバル化が大きく進む中で、意思決定の迅速化は欠かせないと判断し、今回の役職変更を行う。海外でも攻めの姿勢を貫いていきたい。

(『週刊東洋経済』3月31日号「トップに直撃」を転載)

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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