日本酒がワイン大国「フランス」に攻め込む理由 総輸出金額ではわずか1%にすぎないが…

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蔵元がフランスを目指すことは、戦略的にも有効なようだ。「世界のベンチマークになるようなパリの高級飲食店で日本酒が導入されることは、全世界にあるフレンチレストランに日本酒が導入されることにつながる」(酒類業界に詳しい酒文化研究所の山田聡昭氏)。

実際に、2018年最高賞を受賞した中野酒造(大分県)の中野淳之代表は、「受賞した直後から輸出を中心に引き合いが急増した」と話す。

ワイングラス1杯で10~20ユーロ

さらに、クラマスター運営委員長の宮川氏は、「フランスでは、コンクールは有効なマーケティング手法」と言う。同国では、法律によってテレビや公共の場におけるアルコール飲料の広告が大幅に規制されていることもあり、「アルコール飲料は有名ソムリエの“お墨付き”をラベルに貼って消費者に訴求することが効果的」と見られているのだ。

クラマスターで審査するフランス人ソムリエたち(写真:クラマスター協会)

現地の飲食店で提供される日本酒は、ワイングラス1杯で10~20ユーロ(1200円~2400円)が相場。製造量が限られる中小の蔵元にとって、純米大吟醸など高単価な商品を輸出できることもメリットだ。

フランスでの本格的浸透に期待は高まるが、一朝一夕にはいかないだろう。「フランスでは取り扱っている輸入代理店や問屋が少ない」と、JETRO佐賀の吉田健氏は指摘する。今後の輸出拡大には消費者への認知度向上だけでなく、販路や代理店の開拓も同時に進めていくことが求められるというわけだ。

和食ブームの裏で動き出した日本酒のフランス深耕戦略。日本酒が本当の意味で「世界の酒」になるには、舌の肥えたフランス人に認められる必要がある。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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