日本酒作りに応援資金を出す人が急増した理由 サイバーエージェント傘下のマクアケが支援

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

多くの酒蔵は、新商品のテスト販売という位置づけでマクアケを利用する。実績のない新商品開発は銀行の融資を受けづらいが、クラウドファンディングでの実績を見て融資につながることもあるという。実際マクアケでは、「銀行から酒蔵を紹介されることも多い」(坊垣氏)。

国内酒造最大手の白鶴酒造もテスト販売として活用する1社だ。同社では2016年末、平均30歳の若手社員8人が自主的な新商品開発プロジェクトを立ち上げた。

若手社員プロジェクトでクラファン活用

「当社の主力商品の購買層は基本的に60代以上。若い世代の掘り起こしが必要だった」と、プロジェクトリーダーを務めた商品開発本部の佐田尚隆氏は発足のきっかけを振り返る。どうすれば若い人たちに興味を持ってもらえるかと考え、「ワインのようにホームパーティに手土産として持っていけるような日本酒」というコンセプトを設定した。

白鶴の若手社員プロジェクトはMakuakeで目標を大幅に上回る資金調達を達成した(画像:Makuakeウェブサイトをキャプチャ)

一方で大手酒造として、奇抜すぎる商品として見られることも避けたい。だからこそ製法にはこだわり、あくまで香料や甘味料を一切入れない純米酒を造るということを決めたという。「昔ながらの日本酒を飲んでいる人に納得してもらえる一方で、日本酒好きじゃなくても驚いてもらえるようなもの、という落としどころを探した」(佐田氏)。

カギとなったのが、白鶴社内で「お蔵入り」していた3種類の酵母だ。同社では醸造に用いる独自の酵母のうち、安定して大量生産するのに向かないが、研究用に貯蔵しているものが400種類ほどある。この中から今回の企画趣旨に合うような個性的でフルーティーな香りを生み出すものを選び出した。

こうして出来上がったのが、「木漏れ日のムシメガネ」「陽だまりのシュノーケル」「黄昏のテレスコープ」という3種類の日本酒だ。甘めのワインのような風味があり、多くの日本酒とは異なる趣だ。

次ページ日本酒ベンチャーの育成にも貢献
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事