子どもを伸ばすには"4つの学習空間"が必要だ 「画一的な一斉授業」とはまるで逆
例えば、机をきっちりと列に並べず円形にしてはどうか(大きな1つの円でもいいし、複数の円をつくってもいい)。一体感が生まれ、互いの顔が見えるようになるので、こちらの並びのほうが学習効果が高まるかもしれない。
バーチャルで体験するキャンプファイアとは
今はテクノロジーのおかげで、学習を目的とするキャンプファイアをバーチャルな形で体験できるようにもなった。1つ例を挙げるなら、スカイプやiChat動画、iTunesU、YouTubeのライブ配信などを使ってできるテレビ(ビデオ)会議がある。
マサチューセッツ州ケンブリッジにあるボールドウィン小学校の生徒は、スカイプを通じて定期的にキャンプファイアを「囲んで」いる。そこに行けば、エンジニア、科学者、人気作家たちの知識や経験が共有され、リアルタイムで質問にも答えてもらえる。地球の裏側にいたって関係ない!
教育のリワイヤリングは、「1対多」のような伝統的な教育法を見捨てるという意味ではない。そうした伝統的なやり方を、生徒に眠気を催させるのではなく、夢中にさせることを目的として使うということだ。
これは、複数の人が対等な立場で一緒に情報を共有し作業する場だ。この場は、公式にも非公式にもなりうる。
例えば、職場なら休憩室やコピー機の周りが昔からよく知られているが、教育の現場には、協調を促すことを目的とした水飲み場のような空間は、ほぼ皆無といっていい。昼食の時間ですらごく親しい友人だけで集まるのが普通で、話すのも勉強以外のことがほとんどだ。
私がこれまでに見た中でいちばんだと思った学校には、教室内に水飲み場の役割を果たす区画が設けてあった。
その区画では、(1)いま受けた授業で自分が独自に気づいたことを発表し、(2)グループになって新たに気づくことはないか考え、(3)自分の意見に対する感想をほかの人からもらい、(4)学ぶ側であると同時に教える側にもなり、(5)テクノロジーを有効に活用する。
最後に、デジタルの世界の水飲み場にも触れておこう。
フェイスブック、タンブラー、スナップチャットなどのSNS、ウィキペディアやレディットなどのクラウドソーシングサイト、アップルのiWorkやグーグルのドキュメントのように文書を共同制作できるサービス、ワールド・オブ・ウォークラフトのように大勢が参加できるオンラインゲーム……。
これらが爆発的な人気を博していることからわかるように、人は一緒に何かをやりたがるものであり、一緒に何かをせずにはいられないのだ。
これは、1人きりで学習できる空間を指す。この空間で、文章を書く、コードを書く、調べ物をする、研究する、考察する、思いをめぐらす、別の空間で得た情報を反すうする、といったことを行う。
学習に関する研究では一貫して、学習という行為にはメタ認知(自身の思考プロセスを認知し理解すること)が必要であることが実証されている。つまり、学習したことを自分自身で反すうする時間が必要だということだ。
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