「陰謀論」人気に火を付けたYouTubeの自縄自縛

ありえないトンデモ動画が見続けられる理由

2014年、テレビ批評家協会サマー・プレスツアーでのシェーン・ドーソン(左)(写真:ロイター/アフロ)

人気ユーチューバーのシェーン・ドーソンが1月30日にアップした1時間44分のドキュメンタリー『シェーン・ドーソンと一緒に陰謀論を』。不気味なインストゥルメンタルの音楽をバックに、ドーソンはありえない陰謀説の数々を紹介していく。

いわく、iPhoneはユーザーの発言を逐一、ひそかに録音している。人気の子ども向けテレビ番組には、自殺を促すサブリミナルメッセージが仕込まれている。カリフォルニア州で相次ぐ山火事は保険金目当ての住宅所有者、または「指向性エネルギー兵器」という高性能レーザーを使った軍の仕業だ……。

陰謀論で企業とトラブルにも

もちろん、いずれの説も事実には基づかない。その一部は、真剣な告発というより、ふざけた都市伝説のようにも思える。ところが、ファンは鵜呑みにした。動画の視聴回数は既に3750万回以上。ドーソンの人気度に照らしても、ヒットと呼べるレベルだ。

動画の続編も視聴回数は3040万回を超えた。この「パート2」では、レストランチェーンのチャッキーチーズが、お客が手を付けなかったピザのスライスを再利用していると主張。否定する事態に追い込まれた同社との対立騒動を引き起こしている。

ドーソンの陰謀説シリーズが登場したタイミングは、ユーチューブにとって悪すぎた。虚偽情報や過激なコンテンツへの対策に取り組むさなかの出来事だったからだ。

ユーチューブは1月下旬、「グレーゾーンのコンテンツやユーザーに有害なやり方で誤った情報を伝えかねないコンテンツ」の拡散を減らすため、おすすめ動画を表示するアルゴリズムを変更すると発表した。

そうしたコンテンツの例として、同社は「重病を治す奇跡の薬というデマを売り込んだり、地球は平らだと断言したり、9・11テロなどの歴史的事件について明らかに虚偽の主張を行う動画」を挙げている。

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