「陰謀論」人気に火を付けたYouTubeの自縄自縛 ありえないトンデモ動画が見続けられる理由
「現状では、正しい行動を促すインセンティブが存在しない」と、シャスロは語る。「だが、あるものを1000回リコメンドした場合、プラットフォーム側の責任を問うという法案が可決されたら、問題は迅速に解決されると断言する」
とはいえ、そうした法律ができたとしても、ドーソンのような人気ユーチューバーの影響力は変わらない。彼らが記録する膨大な視聴回数はファンに支えられたものであり、ファンは自らチャンネルに登録し、積極的にその動画を視聴しているのだから。
とんでもない闇に視聴者を引き込むことも
ユーチューブにとっての課題はまず、動画のうち「有害な」虚偽情報はどれか、ジョークだとわかって楽しむ視聴者向けの無害なエンターテインメントはどれかを定義することだ。
しかし、さらに困難な問題がある。多くの若者は今やユーチューブを核とする世界観を持ち、メインストリームの情報源を否定して、ユーチューブ生まれのクリエイターが語る「隠された歴史」や信憑性をまとった説を受け入れるようになっている。
こうしたクリエイターが金銭的動機に基づく戦略の一環としてでっちあげや陰謀論を拡散すれば、それは一部の視聴者に浸透する。ときには――アルゴリズムには予想できないはずのやり方で――とんでもない闇に視聴者を引き込むこともある。
ユーチューブは今でも、サイトにあふれる陰謀論を撃退することができる。だがそのためには、問題の深刻度を認識することが必要だ。そして、アルゴリズムを変更するだけではダメ、一世代を丸ごと「脱洗脳」するくらいの取り組みをしなければ効果はない、と気づくことも。
(執筆:Kevin Roose、翻訳:服部真琴)
© 2019 New York Times News Service
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