YouTubeの「売れっ子」に大企業が群がる理由 若者への「狭いけど深い影響力」に期待集まる

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西武鉄道がスポンサーとなり、海外で人気のユーチューバーが秩父観光の様子を動画にまとめて発信。上段はタイ、下段は台湾出身の女性(写真:StyleHaul)

テレビを見ない、ファッション雑誌も読まない。若者をターゲットにしても、広告が届かない――。そういわれて久しい現代の広告宣伝手法として、「インフルエンサーマーケティング」がじわじわと注目を集めつつある。

東京・池袋駅発の特急「レッドアロー号」で埼玉・西武秩父駅に降り立ったのは、台湾とタイで活躍する2人の女性ユーチューバー。ユーチューバーとは、動画投稿サイトYouTube(ユーチューブ)に定期的に動画を投稿するタレントのような人たちのことで、インフルエンサーの代表格だ。

彼女たちは秩父神社、月の石もみじ公園、長瀞(ながとろ)を流れる荒川のライン下りなどを楽しむ様子を写真投稿SNS「インスタグラム」に次々と投稿し、60万人を超えるフォロワーに向けて発信していく。

これは昨年11月、西武鉄道が行った秩父観光プロモーションの一幕だ。インスタグラム上の関連写真への「いいね!」数は旅の当日だけで10万に上り、後日ユーチューブで公開された旅行の動画も再生回数が10万回に達した。

SNSの”タレント”に企業が注目

「ここ数年で、日本でも広告主側の意識はかなり変化した。それも、業界の中のチャレンジャー的位置づけの会社ではなく、(テレビCMなどに巨額を投じてきた)ナショナルクライアントと呼ばれるトップ企業が、確実に(インフルエンサーによる広告に)予算を割くようになっている」

UUUMの鎌田和樹CEOは、広告主のニーズの変化に期待する(記者撮影)

HIKAKIN(ヒカキン)やはじめしゃちょー、木下ゆうかなど、国内の人気ユーチューバーをマネジメントする企業、UUUM(ウーム)の鎌田和樹CEOはそう語る。同社は西武鉄道のプロモーションにも、海外の提携先とともに人選、交渉、運用などのサポート役としてかかわっている。

インフルエンサーマーケティングとは、企業が商品やブランドを宣伝する際、ターゲットとする特定の顧客層に強い影響力を持つ人物(インフルエンサー)と組むこと。企業は彼らのスポンサーとなり、自社の宣伝となるコンテンツを発信してもらう。主戦場はユーチューブをはじめ、インスタグラム、ツイッター、フェイスブックなどのSNSだ。

情報発信の主な形態は動画だが、制作スタイルはさまざまだ。広告主が提供した商品について、使用感を伝える“自撮り動画”をインフルエンサー自身が作ったり、制作チームがスタジオを使って情報番組風に撮影・編集したり、ちょっとしたドラマシリーズを作ったりするようなこともある。最近では、リアルのイベントにインフルエンサーを登場させるなど、活躍の場は動画やネット以外にも広がっている。

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