「陰謀論」人気に火を付けたYouTubeの自縄自縛 ありえないトンデモ動画が見続けられる理由
だが2月中旬に話を聞いた際、シャスロはより慎重な姿勢を示し、ユーチューブの動きは結局のところ、単なる「PR活動」なのかもしれないと語った。
今回の変更によって変わるのは、ユーチューブがどの動画をおすすめするか、という点だけだ。検索結果には相変わらず陰謀論動画が表示されるし、人気の陰謀論者のチャンネル登録者は何の制約もなしに彼らの動画を視聴できる。
前向きではあっても不十分な一歩だと、シャスロは言う。「陰謀論のごく一部に対処するだけだ」
おすすめ上位にあがるのは陰謀ややらせ動画
シャスロは2018年、部外者にユーチューブのおすすめアルゴリズムの仕組みの一端を知らせるべく、ウェブサイト「AlgoTransparency.org」を設立。人気のユーチューブチャンネル1000件以上に基づいて、これらのチャンネルの動画視聴者におすすめされる頻度が最も高いのはどんな動画かを割り出している。
リストの上位に並ぶのは大抵、陰謀論やヤラセ動画だ。最近のある日、1位になったのは米空軍基地でUFOを見たと主張するもの。上記の1000以上のチャンネルのうち、138チャンネルの視聴者におすすめとして表示された。2位は、昨今の一連の天災を新約聖書の黙示録の予言と関連づける動画で、126チャンネルの視聴者におすすめされていた。
ユーチューブに氾濫する虚偽情報の問題をどう解決すべきか。可能性のある対策としてシャスロが提案するのが、新たな規制だ。
通信品位法230条を修正してはどうかと、シャスロは言う。免責対象を定めるこの条項のおかげで、ユーチューブやフェイスブック、ツイッターといったプラットフォームはユーザー生成コンテンツ、およびアルゴリズムによるリコメンドシステムについて責任を問われずに済んでいる。
ならば、おすすめについてはプラットフォームを免責しないと修正したらどうだろう?