「髪をむしるほど過酷」な中学受験の壮絶結末 家庭教師1本に絞った母子が歩んだ「茨の道」

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でも、「絶対に合格できる!」その言葉を信じていた親子にとってはもはやこの状態は高圧的とも、高額とも思えなくなっていた。だが、ストレスがピークに達したのか、その異変は起こり始めた。智樹くんの頭に目に見えるはげが出現したのだ。

「髪の毛をいじるのが癖になったようで、自分で無意識に髪を抜いていたんです。手でピッとこう、本当に無意識に」。はげた部分はどんどん広がり、はた目にもわかるようになっていた。鏡を目の前に置くなど、髪を抜く癖をなくさせる対処法といわれることはいろいろと試した。だが、髪の毛を抜く癖が治ることはないままに受験日へと突入した。

「あきらかにストレスだったと思います」

3年間、必死の思いで取り組んできた受験は…

当初から熱望していた志望校を第一志望に据えて挑んだ本番。幸運なことに、志望校は複数回の受験を実施する学校だったため、受けられる試験日はすべて応募。万が一の場合に備え、ここならば絶対に受かると言われていた、滑り止めの学校にも出願し、万全の態勢のはずだった。

だが、あれだけ「受かる」と言われていたにもかかわらず、智樹くんは第一志望校に落ちた。それだけではない。滑り止めの学校にも落ち、全敗という結果となったのだ。3年間、必死の思いで取り組んできた受験は、惨敗という結果で幕を閉じた。

「何のためにあの指導に耐えてきたのか、無意味な苦労だったのではないかと、いまだに心が痛みます」

志望校、全落ち。まるで悪夢のレアケースのようだが、中学受験の経験者に取材をする中でわかってきたのは、一般に広く知られていないだけで、中学受験で全落ちを経験する家族は意外に多くいるということだ。

智樹くんはその後、以前、母親の友人から勧められてパンフレットを入手していた、東京受験を開催している、寮のある地方の学校を受験。なんとか合格、その学校への入学を決めたという。自宅から通えない地方の学校に入り、寮生活になるなんて、まさか考えていなかったという親子だが、あの苦しい3年間が無になるよりはと、入学・入寮を決断した。

「寮ですから、通学時間は必要はありませんし、初めは心配しましたけれど、今は何とかうまくやれているみたいです」

受験が終わった安堵からか、入学が決まると、髪の毛を抜く癖も治まったという。

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