「女子の受験」を襲った想定外の"3つの関門" 6年間のサピックス生活の後半に起きたこと

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中学受験を間近に控え、精神的・体力的なつらさに加え襲ってくる「女の子ならでは」の苦難とは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)  
今年も中学受験のシーズンが始まった。首都圏、特に23区に住む多くの小学6年生が、1月からの苛酷な試験の日々をスタートさせている。
中学受験に挑むかどうかは家庭により価値観の分かれるところで、その是非についてはこの連載では取り上げない。ただもし、自分の家庭が「やる」と決めた場合には“現実”、それも”スムーズにはいかなかったケース”を知っておくことは、決して無駄ではないだろう。中学受験が、その後の子どもの人生と親子関係に大きな影響を与えることがあると考えるからだ。
今回の記事では、10年近くにも及ぶ、長い長い受験生活に挑んだある女の子のケースを取り上げる。子どもとの向き合い方は、きっと多くの親にとって参考になるはずだ。
前回記事:中学受験で"全落ち"した母子の「最終出口」

神奈川県の名門私立女子校に通う阿部葉子ちゃん(中1)。彼女はいま、ダンスに夢中だ。学校でダンス部に入り活動するほか、有名アーティストが開講したダンススクールにも通っている。

休みの日には友人と原宿に出かけて街歩きを楽しむ彼女はまさにいま、中学生活を満喫している。だが、この日々を手に入れるまでには、多くの関門を乗り越えてきた。そこには「女子ならでは」の難しさもあった。

母校の青学に通わせたいと、勉強スタート

葉子ちゃんの受験生活は、一般の子よりもかなり長い。通常、中学受験をする子は小学校3年の2月に集団塾に入るのが王道だが、葉子ちゃんは幼稚園受験と小学校受験の経験者。母親が、母校の青山学院に通わせたいと考えたことがきっかけだった。母親の知子さんが振り返る。

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「いま考えると親のエゴだなと思うのですが、どうしても同じ青学に入れてやりたくて、1時間かけて渋谷のお受験塾に通わせていました。本人も嫌がる様子もなく、むしろ楽しそうに通っていました」

ところが、幼稚科受験は不合格、続く小学校受験でも縁はもらえなかった。週に1、2回の通塾で、月謝は月に10万円ほど。どこの家庭でも、最初の子には手も目もお金もかけがちになる。幼児のときからそれだけ教育費にかけられるというのはもちろん持てるもののなせる業だが、これもわが子に最善の環境を、と願う親の愛情表現の1つの形。また、ここ東京では、その選択肢に事欠かない。

小学校受験を終えたのち、母親の知子さんが「このままお勉強は続けたい?」と聞くと、「うん」と即答した娘。「中学受験ならサピよ」と、周りのママ友に進められるがままに、小1からサピックス(通称サピ)に入塾した。

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