人殺し「耐性カンジダ菌」世界同時発生の恐怖 手を打たなければ世界で1000万人が犠牲に?

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CDCがインドとパキスタン、ベネズエラ、南アフリカ、そして日本からのカンジダ・アウリスのサンプルの全ゲノムを比較したところ、もともとの発生源は1カ所だけではないことと、菌株も1つではないことが確認された。

ゲノムシーケンスではカンジダ・アウリスには4つの菌株があることが確認された。その違いは大きく、数千年前に枝分かれしたことがうかがえる。害のないそこらにいる菌株だったのが、なぜか同時期に世界の4カ所で薬剤耐性菌となって改めて姿を現したわけだ。

農作物への殺かび剤使いすぎが原因か

「どういう風にか、(4つの菌株は)ほぼ同時期に大きな進化を遂げたようだ。そして各地に広がり、耐性を獲得している。本当に驚くべきことだ」とバラバネニは言う。

カンジダ・アウリスに何が起きたのかについては複数の仮説がある。オランダの研究者のメイスは、農作物への殺かび剤の使いすぎが薬剤耐性真菌を生んだと考えているという。

メイスが耐性真菌に関心を持ったのは、2005年にアスペルギルスという菌に感染して死亡したオランダの63歳の患者の症例を聞いたのがきっかけだ。この菌はイトラコナゾールという代表的な抗真菌薬に耐性を持っていたが、イトラコナゾールは世界中で農作物に使われているアゾール系農薬とほぼ同じものと言っていい。

CDCのチラーは、防かび剤の乱用がカンジダ・アウリスを利したと考えている。カンジダ・アウリス自体は数千年前から存在していたが、特に攻撃的な菌ではなかった。だが防かび剤のせいでもっとありふれた種類の真菌が減り、カンジダ・アウリスが取って代わるチャンスを手にしたわけだ。

カンジダ・アウリスの出現の謎はまだ解けていない。だが当面は、それよりも重要なのは感染拡大を食い止めることだ。

(執筆:Matt Richtel記者、Andrew Jacobs記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2018 New York Times News Service

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