人殺し「耐性カンジダ菌」世界同時発生の恐怖 手を打たなければ世界で1000万人が犠牲に?

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さてカンジダ・アウリスは広がっていたが、それについての情報は広がっていなかった。病院は政府には問題を知らせたものの、一般への公表は行っていなかった。

こうした耐性菌パニックは世界各地の病院で人知れず起きている。医療機関も行政も、耐性菌の発生の公表には二の足を踏む。患者(もしくは今後、医療機関を利用するかも知れない一般の人々)を怖がらせても意味はないというのがその言い分だ。

ICUを11日間にわたって閉鎖

ロイヤル・ブロンプトン病院の感染症の専門医シルク・シェレンズは、問題が発生した当初、行政にも病院にも切迫感がないことに「非常にいら立った」と言う。

「(病院の)評判を落としたくなかったのは明らかだった」とシェレンズは言う。「手術結果には関係がないことだったから」

2016年6月末には、ロイヤル・ブロンプトン病院における「進行中の50のカンジダ・アウリス感染例」についての研究がまとめられた。そして病院は驚くような手段に出た。集中治療室(ICU)を11日間にわたって閉鎖したのだ。この時も発表はなかった。

だが数日後、病院はついに新聞に対し、問題の発生を認めた。イギリスのデイリー・テレグラフ紙にはこんな見出しが躍った。「死を招く新たな耐性菌がイギリスで発生、ICUが閉鎖に」

だがこの問題は国際的にはあまり知られていないままだったが、スペインのバレンシアにある大学病院ではさらに規模の大きな集団発生が起きていた。だがロイヤル・ブロンプトン病院の時と同じく、病院側は何の発表も行わず、今に至るまで口をつぐんだままだ。

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