日本はやはりいい国
「東洋経済オンライン」で連載させていただいてきた、「グローバルエリートは見た!」の第一回は、東京と香港・シンガポールを比較するコラムであった。それから1年余りの間、親愛なる読者の皆様と私はまさに、世界中を飛び回りながら、日本の魅力と問題点について一緒に考えてきた。
私たちは日本の食文化が香港やシンガポールのみならず、ヨーロッパ全土から東欧のポーランドにいたるまで、爆発的な人気を博しているのを目にしてきた。
また日本のサービス産業のクオリティは世界最高水準ではなく、まさに世界最高峰である。そして、その「おもてなし文化」に心酔する外国人観光客が数多くいることを目にしてきた。実際につい最近も私のブラジル人の友人と韓国人の友人が訪日し、ヒトも親切で食事もおいしく、最高に楽しかったと述懐している。
東京オリンピックが来るのは特に楽しみで、日本のおもてなしスピリットと高度なサービス文化で、世界中の人によい刺激をあたえて全世界のサービス精神(とくにフランス)が向上することを願ってやまない。実際に最近中国本土のレストランやスーパーで店員さんの態度が格段に向上しているのも、明らかに日本食レストランや日系デパート進出の良い影響であろう。
しかし愛国心を語るとき、それは溺愛して何でも子供を誉めまくり、子供を駄目にする親バカのそれであってはならない。時には子供の成長のために厳しくしかりつけるような、本当に国が正しい方向に発展することを助けるような、建設的に厳しい愛国心でなければならないことを、肝に銘じたい。
「空気を読まない強さ」が必要
今のご時世、「日本はやっぱり最高!!」とだけ叫び続けて安易な人気をとることは簡単である。このグローバルエリートも「世界中のエリートの働き方を一冊にまとめてみた」を日本市場で売りまくるためには、「日本最高!」と礼賛するような記事を連発したほうが、私もウハウハ儲かったことだろう。
しかし盲目的に国を礼賛することで、社会が前進したためしがあるだろうか?とくに同調圧力と滅私奉公的な国家主義(個人の権利より国家の権利を優先させる)が伝統的に強い日本で、とにかく闇雲に国と歴史を美化する同調圧力が極端に強まっている。だからこそ勇気をもって、いかに非難されようと「空気を読まずに、未来のあるべき姿を読む」強さを発揮していただきたい。
日本社会は、極度に批判を恐れる社会である。これは企業やメディアが消費者や視聴者からクレームが入ると、常に大げさに反応して商品や番組を打ち切り謝罪広告を入れることからもわかる。ないし一つの企業で不祥事があれば官僚が後に批判されるのを恐れ業界全体をつぶすような過度な規制でがんじがらめにすることにも如実に表れている。
しかし多数派からの批判を過度に恐れる文化が、大勢が暴走したときに破滅するまで歯止めが掛からないという“社会的弱点”に真摯に向き合うことが、建設的な愛国心・郷土愛に繋がるだろう。
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