日本人が引っかかる和製英語の恥ずかしい「罠」 スタバで「コンセントはどこ?」と聞くと…

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ですので、注文をすると「here or to go?」=「こちらでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」と聞かれます。このとき、マニュアルは載っていない「テイクアウト」という言葉を切り出すと、「はあ??」というような態度を取られることになりますが、そこはなんとか乗り切ってください。ちなみに、テイクアウトしたい場合は、「to go, please」で。

私の会社の広報S君によると、アメリカのハンバーガーショップの店員さんの英語は際立って聞き取りにくいそうです。それもそのはずで、彼らは“ちゃんと”しゃべっていません。日本の居酒屋を思い出してみてください。「ラッシャセー!」「アザーシター!」これは、日本語学校でヒヤリングを学んだ人からすると「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」には聞こえませんね。

同じように「May I help you,Sir」は「メアッヘプユサー!」でしょうし、問題の「Here or to go」は「ヒオアトゥゴ?」くらいでしょう。しかし来店者もこのシーンで話してくる(実際には言ってさえいない)言葉を予想できているので聞き取れているのです。

「フライドポテト」じゃ通じないかも

なお、本格的なハンバーガーを出すお店は、これはこれで結構面倒なやりとりが待っています。まず「バンズ(パン)は?」「How do you like(肉の焼き加減を聞いている)」「チーズは?(ダブルかシングルか店によってはチーズの種類が選べる場合も)」「ほかに何をトッピングしたい?(オープン?聞かれてもそもそも何があるのか……)」この果てしない尋問に耐えないとアメリカやカナダで本格的なハンバーガーを楽しむことはできません。

また、「フライドポテト」は和製英語で、通常ハンバーガーの添え物として出てくるポテトは「フレンチフライ」といいます。「フライドポテト」というと「それはフレンチフライのことか?」と非常識な人間を見るような目で聞き返してくるでしょう。なぜフレンチなのか、なぜポテトという単語すら入っていないのかという質問に答えられるアメリカ人やカナダ人は(僕も含めて)なかなかいないと思いますが、とにかくそうなっています。

先人が異文化を日本に取り入れる過程で発生したと思われ、深く日本語の中に浸透している和製英語。浸透しているだけに、和製英語のトラップはそこら中に仕掛けられていると思ってください。

僕も日本語を勉強してきて逆の立場でいろいろな驚きを経験してきたのでよくわかりますが、ネイティブではない人が英語の文法をどれだけ勉強してもどれが和製英語かを判別することはなかなかできません。これは、語学が学習ではなく「相手の社会・生活を、経験を通して理解する」行為の一部であるということを象徴しているかもしれません。

学校における語学教育も今後は、単に学力を競うのではなく、より多くの経験を提供する場に変わっていけばいいと考えています。教育全般がそうした方向に向かうべきだという考えは世界中にあり、最近では教室にいながらにしてVRなどを通じて世界と触れ合うといった実験的な取り組みも始まっています。そのうち、「ケンタッキー・フライドチキンってアメリカではKFCっていうんだ!」と教室で知る日が来るかもしれません。

デビット・ベネット テンストレント最高顧客責任者

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David Bennett

1979年にジャマイカで生まれ、カナダ国籍を持つ。カナダトロント大学大学院卒。早稲田大学にて日本語を習得、学習院女子大学大学院にて日本古典文学を学ぶ。東京でコンサルタントとして社会人キャリアをスタート。AMD社コーポレートバイスプレジデント、および同社のレノボアカウントチームのゼネラルマネージャーを務め、コンシューマー、コマーシャル、グラフィックス、エンタープライズプラットフォームなど広範な事業を手掛ける。2018年5月レノボ・ジャパン社長に就任、2022年6月から現職。古典文学が好き。

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