緊張でガチガチのプレゼンで成果を残すコツ 「印象の薄い人」が覚えるべき3つの話し方

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プレゼンも同じです。1時間の話も、体験してもらえば一瞬で伝わるのです。話のストーリーに体験を加えることです。

例えば、サービスを体験してもらう。実際に動いているのを見せる。店の様子を展示する、などなど。言葉だけではなくお客さんに体験してもらうことで、より強く訴求することができるのです。

空気は、読むものではなく、作るもの

また、「なぜ皆が寝ているかわからない。その場の空気が読めていないのでしょうか?」と質問されることがあります。

しかし、空気は、読むものではなく、作るものです。

メトロノームや、時計の振り子が規則的に動くのをじっと眺めていると、どんな人でも眠くなります。プレゼンも同じです。いくらリズム感がよくても、同じリズムで話し続けていたら、眠くなります。しかもリズム感よく速く話すと、眠気は加速されます。

もしお客さんを寝させたかったら、同じリズムで早口で話せば確実に寝てくれます。

このことを理解いただくために、私は講演会で「空気を作り、寝させない方法」を実験することがあります。次のような流れです。

① いきなり黙り、5秒間沈黙。
② 「空気感が変わったのわかるでしょう?」
③ 「空気は自由に作れるんですよ」
④ 「そのためには、ゆっくりとしゃべることですよ」
⑤ いきなり黙って間を置いた後、突然「……そこのあなた!」と言う。
『緊張して話せるのは才能である』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

こうすると全員、自分のことかと思いキョロキョロする。「そこのあなたですよ」と再度言う。眠い人がいたら、これで絶対起きます。

黙ったり、ゆっくり話す。間を取って、聴き手の意識を集中させることです。速く話すと人は次々と寝てしまいますが、逆にいきなり黙ると、寝ている人も気がついて起きます。

間の取り方は一定ではなく「可変長」です。黙っている時間が空気を作るのです。お客さんが興味を持っているプレゼンの冒頭3分以内に空気を作ってしまうのが一番効果的です。

冒頭で「あなたはこんなときどうしますか?」「この商品の原料はどこでとれるか分かります?」など、質問やクイズから開始する方法もあります。

体を動かしてもらう、沈黙の時間を作る、体験してもらう。これらにより、誰でも起きてくれるのです。

永井 千佳 トップ・プレゼン・コンサルタント、ウォンツアンドバリュー取締役

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ながい ちか / Chika Nagai

桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。極度のあがり症にもかかわらず、演奏家として舞台に立ち続けて苦しむ。あるとき緊張を活かし感動を伝えるには「コツ」があることを発見し、人生が好転し始める。その体験から得た学びと技術を著書『緊張して話せるのは才能である』(宣伝会議)で執筆。経営者の個性や才能を引き出す「トップ・プレゼン・コンサルティング」を開発し、経営者やマネージャーを中心に600人以上のプレゼン指導を行っている。NHK、読売新聞、雑誌『AERA』、『プレジデント』、『プレシャス』、各種ラジオ番組などのメディアでも活動が取り上げられている。永井千佳オフィシャルサイト https://nagaichika.jp/ Twitter: @nagaichika

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