ただし女性も男性にごちそうになることに甘えてはいけない。 “デート代は、男性が払って当然”と思っている人は、男性からまず選ばれない。食事をごちそうになった後にお茶代を払ったり、次のデートのときにお礼のプレゼントを持っていったりするような気配りができる女性に、負けてしまう。また、デートの前に1万円札を千円札に両替して、合計金額の半分より少ない額を、「これ、取ってください」と男性に手渡す気遣いができる女性もいるのだ。
お金の払い方、使い方には、その人の人間性がいちばん出る。
飲食3回の壁の次に待つ「触れ合いの壁」
康司が私のところで活動するようになって、飲食3回の壁を越える女性、吉野小百合(38歳、仮名)が現れた。
「最初のお見合いのときから、不思議と緊張せずに自然体で話すことができたんです。何ていうのかな、吉野さんって、いつも気持ちがフラットで、どんな人も分け隔てなく公平な目で見ているというか。そういうところがいいなと思っています」
“自然体で話ができた”というのが、飲食3回の壁を越えられた最も大きなポイントだろう。これまでのお見合いは、対峙した相手に身構えてしまったり、沈黙が怖くて細かな質問を繰り返してしまったり、相手の反応が悪いと焦ってしまったりと、自分らしく振る舞えなかった。ところが小百合には、ごく自然にありのままの自分が出せた。そこは小百合のコミュ力の高さがそうさせたのかもしれない。
小百合に会うたびに惹かれていったようだが、飲食3回の壁を越えて、康司には次の課題が出てきた。面談のために事務所にやってきた康司は、ソファに座るなりこんなことを言った。
「お付き合いは順調なんですが、今後はもっと距離を縮めたい。手をつなぐとか、触れ合うタイミングがわからなくて。皆さん、どのタイミングでそういうことをしているんですか?」
飲食の壁の次に待っているのは、この“触れ合いの壁”だ。手をつないだり、抱きしめたり、キスをしたり、それをするのはたいてい男性側なので、どのタイミングでしたらいいのか。またしたことで拒否をされないか、悩むところだろう。
康司のみならず男性会員には同じ質問をされることがあるので、私はいつもこうアドバイスしている。
「自然に触れ合うことができるデートに行くといいですよ。例えば遊園地に行ってアトラクションに乗り降りするときに、手を貸してあげる。一緒に登山をして、女性の足元がおぼつかないところがあったら、自分が先に行って引っ張り上げてあげる。そうしたことでまずは自然に触れ合うきっかけを作れば、その次には手をつないで歩くこともできるようになるでしょう?」
そして、この触れ合いによって、また2人の関係に1つの答えが出てくることも確かなのだ。
「生理的に合う」「生理的に合わない」という言葉があるが、触れ合ったときに、それを心地よく感じるか、体が拒否反応を起こすか。それは本能が導き出す答えだ。どんなに誠実でいい人だったとしても、触れ合ったときに違和感を覚えることがある。これは理屈では拭い去れない。
そこで女性会員には、「いいなと思ってお付き合いしている男性とは、ドライブデートをしてみるといいわよ」とアドバイスしている。
車という狭い空間に2人でいることが嫌ではなければ、おそらく触れ合ったときに違和感もないだろう。また、車の運転というのはその人の人柄が出る。たまたま赤信号が続いたことにイラッとしたり、脇道から飛び出してきた自転車や車に舌打ちしたり、車にあおられたときに暴言を吐いたりするような男性は、それが後にパートナーの女性に向けられることになる。
康司は週末に、小百合とディズニーランドに行くことになったようだ。
「お天気だといいな。あ、でも雨だったら相合傘ができるから、そこでもまた距離が縮まりますよね」
“飲食3回の壁”を越えた2人が“触れ合いの壁”を越えられるか。
2人の今後を温かく見守りたい。
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