「元来の日本は、オープンかつ競争志向だ」

『君に友だちはいらない』を書いた瀧本哲史氏に聞く

倫理性では絶対に譲ってはいけない

──大きな環境変化があるわけですね。

本物の資本主義になってきた。同じ仕事をしているのではしだいにコモディティ化して儲からなくなる。つねにイノベーションし続けないと現状維持さえできなくなる。今までとは違い、非連続のイノベーションを提案しないかぎり、その会社は存続するのが難しいし、その中の社員もいいことがない。新しいメンバーで英知を出し合い新たに試してみて、そのどれが正しいかは市場が決める、というように変わっている。

瀧本哲史(たきもと・てつふみ)
京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。
エンジェル投資家
東京大学法学部卒業。同大学大学院法学政治学研究科助手を経て、マッキンゼー&カンパニーで、主にエレクトロニクス業界のコンサルティングに従事。新規事業立ち上げや投資プログラムの策定を行う。独立後は、日本交通の再建に携わる。京都大学では教育、研究、産官学連携活動を行っている。
(撮影:梅谷秀司)

──それもグローバルで。

本物の資本主義は以前から世界で行われていて、日本が完全につながったのだ。それゆえ、世界を変えるようなことをしないと意味がない。それは、答えを探しに行くのではなく、問題提起自体をやっていくような非定型的なプロジェクトになる。こういうプロジェクトは伝統的な組織ではできなくて、チームの新編成が必要だ。しかも、いわゆるチームワークで「頑張る」のではなくて、新しいタイプの多様な人が集まってプロジェクトベースで協力し合うチーム編成でないといけない。

──その際のよいチームとは。

少人数でメンバーが互いに補完的なスキルを持っていることが第一。それに共通の目標と達成責任を持ちつつ、問題解決のアプローチを共有する。メンバーには相互責任もある。そういうチームがいちばん望ましい。メンバーは流動的でいいが、何よりビジョンを大きくブチ上げることだ。たとえばアップルは、IBMを倒すという、当時としては無謀すぎる目標によって未来を見据えていた。

──メンバー、仲間というと、『ワンピース』が思い浮かびます。

あの仲間はあまりに仲良しすぎる。『海賊の経済学』という本に書かれているとおり、海賊はもっと目的合理的なはずだ。仲間内だけの単なる自己承認では何も起こせないからだ。むしろ縮小再生産になっていく。とかく互いにかばい合う楽しい会社は内向きで、潰れていくのと同じだ。『ワンピース』の仲間には目標はあるのかもしれないが、「いいね!ごっこ」のような仲間内感が強すぎないか。世の中を変えるには、仲間というより戦友になることだ。

──メンバーの倫理性も強調しています。

そうでないと、内側から潰れてしまい、安心して戦えない。倫理的に問題がある人には、一つだけではなくて、いろいろ問題があるものだ。そして、行くところまで行ってしまう。ギャンブルにはまるように、最初は小さいことでも、どんどん膨らんでいく。またそういうことは伝染する。これくらいは大丈夫だよと言う人がいると、皆がそう思うようになり、どんどんエスカレートしていくから、倫理性では絶対に譲ってはいけない。

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