就活「採用プロセス」で企業の選考方針は読める 人気企業の「長い選考待ち」は当落線上の印?

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各採用プロセスで、どれくらいの人数を通過させているのか、その相場を知りたいという就活生は少なくないでしょう。その基準は、企業によって異なります。初めて新卒採用をする企業は別ですが、一般的には前年のデータから、各プロセスの辞退率を分析し、その年の必要採用人数から逆算して、どれくらいの母集団形成(選考対象にする人数)が必要かを導き出します。

予定数より採用が少なければ、そもそも母集団が足らないのか、母集団は足りているが辞退率が高いプロセスがあるのかなどの分析をし、改善を行っています。

採用予定数の倍の内定を出す企業もある

内定を出す人数については、学生採用に大きな手間をかけず、学生に対して入社への動機付けを熱心に行っていない企業は、必要採用数の2倍程度の内定を出す印象です。一方、学生採用に手間をかけ、入社への動機付けに自信のある企業については、1.2~1.5倍くらいの間で内定を出している印象です。

他社の人事担当者の話を聞いていると、あまり人が辞めない企業は、採用した人数がそのまま人件費増になるため、内定の出し方には慎重なようです。加えて、新人の受入れ体制、教育の体制等も考えたうえで、必要採用人数を決定していることも、慎重な判断に影響しているようです。

逆に人が多く辞めている企業は、結局、人手不足が続いているため、予定よりも多く採用することはそれほど問題にならないようです。よって、内定は予定より多く出す傾向です。

人が多く辞めていてもコスト管理に厳しい企業や業績が下降している企業は別です。そういう企業は、内定の出し方については慎重です。内定の出し方だけでも、その企業の特徴や状況が表れるのです。

採用プロセスには、企業の考え方や価値観、状況が表れます。その企業が自分に合っているのかどうか、選考を受ける中で、企業の人が話す内容だけでなく、その企業の採用プロセスのあり方にも注目してみてはいかがでしょうか。

豊川 晴登 人材ビジネス企業 人事・採用担当

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とよかわ はると / Haruto Toyokawa

1974年生まれ。ベンチャー、中小、大手上場企業など複数の企業に勤務し、小売、金融、保険、アウトソース、人材等の事業領域で人事を中心としたキャリアを積む。事業責任者、上場企業の執行役員等の経験を経て、現職に至る。GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

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