就活「採用プロセス」で企業の選考方針は読める 人気企業の「長い選考待ち」は当落線上の印?

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当然、ESを1つ1つ丁寧に読んでいる企業の方が多いとは思いますが、いずれにしても人気企業を狙うには、まず一定レベルの大学に入学していないと、その企業と直接接点を持つことさえも難しいのが現実です。どのレベルの大学までが選考対象になるのかは、直近数年で入社した人の大学名を調べてみれば、おおよその予測は立てられます。

「人気企業に入るためには大学を選ぶところから勝負が始まっている」という現実を、就職活動を意識する頃になって初めて知る大学生が多くいることに、私は、いろいろな問題を感じています。しかし、将来はともかく、今、そうした現実があることを受け止める必要があるでしょう。

人気企業は、一定の足切りをしても、多くの学生が選考に残る形となりますので、そこからまた一定の数を絞るために、グループ選考を実施するのが一般的です。さらに、人気企業に受かるためには、グループ選考で選んでもらえるためのスキルや準備をしておくことが必須となります。

グループ選考では、「あえて自分が自分がと前に出ず、周りを気配りするようなふるまいをすることが重要」など、噂がいろいろあるようですが、選考基準は企業によって違うため、表面的なテクニック的なことを覚えるよりも、その企業の先輩社員たちが、「この人材と一緒に働きたい! と思える人とはどんな人か」ということを考え、身なり、表情、話し方、話す内容をアウトプットすることが重要だと思っています。

内定者数の調整目的で面接を重ねる企業も

グループ選考を突破した後は、面接が複数回行われ、あらゆる人が、あらゆる視点で判定をします。その関門を突破した人材のみが、内定を勝ち取ることになるのです。

人気企業が複数回面接を行うのは、何度も面接を行うことで、多面的な判断ができることや、面接を通じ企業理解を深めさせる目的がありますが、実はそれだけではありません。何度も面接を通過させることで、就活生に「せっかくここまで認められたのだから、これまでの苦労を無駄にしたくない」という思いを芽生えさせ、選考への気持ちを高めさせるという理由もあるようです。

さらに、内定人数の調整がしやすいといった理由もあります。複数回面接を設けることで、優秀だと判断した学生を、優先して選考し、優先順位の低い学生については、「まだ次の選考がある」ということで待たせることができます。

優先順位の高い学生が、内定を出す前に選考を辞退したり、内定辞退をしてほかの企業に行ってしまったりしても、優先順位の低い学生の選考が残っていれば、その補填が可能です。面接回数が少ないと、優先順位の高い学生がどうなるかわからない状況の中で、ほかの学生をつなぎとめておく理由がなくなってしまいます。

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