つらい「断食」にイスラム教徒が熱中する理由

ラマダーン体験者が語る何も口にしない苦労

イスラム教徒は苦しい思いをしてまで、なぜラマダーン(断食)を行うのか?(イラスト:『サトコとナダ」から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史』)
世界に17億人以上いると言われるムスリム(イスラム教徒)。彼らはなぜ水さえ飲めない、つらい「断食」に励むのか? その理由を文化人類学者の椿原敦子氏と、中東・イスラム研究者の黒田賢治氏による共著書『「サトコとナダ」から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史』から一部抜粋し、再構成してお届けします。

ラマダーンはイスラム暦の第9番の月にあたります。一般的に断食月として知られていますが、これは正確ではありません。

断食ではなく体のすべての器官を清浄に保つことであり、これを斎戒といいます。ですので、日の出から日の入りまで食べることや飲むことだけでなく、喫煙や性行為も禁じられています。

ただし、斎戒をしていいのは心身ともに健康な者に限られています。子どもや老人はもちろんのこと、病気であったり、体が弱かったり、妊婦や授乳中の女性、月経や産後の出血のある女性はこれに含まれません。

特につらかったのは「のどの渇き」

旅行中の人も免除の対象になります。しかしその場合、免除された斎戒は旅行が終わった後で行う必要があります。昔は飛行機や自動車がなく、旅自体が過酷であったために旅行中に斎戒を行うことは難しかったのですが、今日では旅行中でも断食するムスリムは増えています。

なお白夜で日が沈まないスウェーデンやノルウェーなど北欧の場合には、メッカの太陽の動きに従う方法や、白夜が起こっていないデンマークなどの近くの地域に従う方法があるようです。

毎年のこととはいえ、日の出から日の入りまで飲まず食わずは大変です。しかも太陰暦ですので毎年時期が少しずつずれており、真夏にあたると大変です。筆者の経験では、食べないのはまだ耐えられますが、のどの渇きはつらかったです。

夜明けの礼拝の呼びかけがあると、サフール(断食前の食事)をやめるようにいわれますので、このときまでが勝負です。断食前に塩分の多いものをとると、あとで水が飲みたくなるので注意が必要です。

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