吉野家580円定食で考える仕事の「潮目」 潮目がわかる人、わからない人

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言外に込められた

〈景気が厳しくなれば、新規事業をやる余裕などない。それより、目先の仕事をしっかりこなしてほしい〉

という意図を感じ取ったのでしょう。

ところが、潮目の変化を感じ取ることができずに、取り残された社員もいました。そのひとりが研究所に勤務していたGさん。本業の基礎研究の仕事をほったらかして、海外市場の調査をしたいと予算を要求。周囲でプロジェクトが自然消滅していのも気にせず、新規事業のプランを考えて、役員に提案しました。当然ながら、感触の悪い回答が返ってきているのに、それでも気にせず、プロジェクトを続行。すると、ついに

「会社の置かれた状況は一変した。新規事業にうつつを抜かす時間はなくなった」

と、厳しい言葉を上司から浴びせられる羽目に。Gさんのショックは大きく、その後、退職する事態となりました。

今持つべき、過去を忘れる勇気

潮目が変われば、戦略が変わり、社長の発言も変わる。それを感じ取ることを社員が期待されるのは当然のことです。そんなときには

・過去の優先順位を忘れる

・逆転の発想を大事にする

と、過去を忘れるくらいの勇気が必要です。とにかく、潮目の変わり時は見逃してはいけません。

先日は、工作機械で受注額が18カ月ぶりプラスに転じた――と日本工作機械工業会が発表。

「明らかに潮目が変わった。中小企業が積極投資に動いている」

そう笑顔で語ったのは、牧野フライス製作所の牧野二郎社長でした。工作機械業界にとどまらず、前向きで明るい「潮目の変化」が起きる気配が、日本経済全体にあふれてきたのかもしれません。過去を忘れる勇気を備えて、2014年を迎えたいものです。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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