吉野家580円定食で考える仕事の「潮目」 潮目がわかる人、わからない人

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潮目がわかる人、わからない人

話を戻しますと、昨年の今頃は、アップサイドなんて言葉を口にする人は皆無でした。この変化=潮目が変わったことを見逃してはいけません。見逃すと、自分が損をする可能性が大きいでしょう(理由は後述します)。

ちなみに、仕事をしていて潮目が変わるのはよくあること。しかも、昨日まで正しかったことが、今日からは時代遅れの行為になったりするから恐ろしいものです。たとえば、バブル景気からバブル崩壊が起きた1990年代初頭。イケイケで経費を湯水のように使っていた会社が、いきなり交通費も接待費も凍結。

《会社の経費を1円でも無駄に使うことは許しません》

と経理から厳しい「通達」が出たものでした。でも、つい前年まで会社側は、

「仕事をドンドン取ってこい、そのために接待はドンドンやりなさい」

と、経費の使用を容認していたはず。それが突然、180度方針転換したのです。このように、潮目が変わったことを踏まえた行動ができないと、「こいつ、わかってないな」と周囲から冷たい視線が注がれ、取り残された存在になってしまうことでしょう。

当方も仕事を始めて、約4半世紀。これまで、「潮目」に遭遇したことが何回もあります。たとえば、取引先の化粧品会社で起きた潮目。時期は2000年代前半。オーナー社長(当時)は

「景気が回復基調になってきた。ここからが勝負である。すべての社員が新規事業を果敢に生み出せる創造型人材を目指してくれ」

と、毎日のように朝礼で連呼していました。当然ながら、新規事業を考える社内プロジェクトがいくつも立ち上がりました。その1年後には100以上のプロジェクトが同時に進行するまでに。ところが、そのタイミングでリーマンショックに遭遇。すると、潮目が一気に変わりました。まず、朝礼で社長が発する言葉から創造型人材が消えました。そして、

「未曽有の危機に日本経済が巻き込まれる可能性が出てきた。時代の変化に合わせて、仕事に取り組んでほしい」

との発言がされ、新規事業関連のプロジェクトが徐々に頓挫し始め、自然消滅していきました。

社長は「新規事業を考えることを辞めろ」とまでは言いませんが、潮目の変化を踏まえた賢い行動を取った社員が多かったのです。

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