京都が「観光公害」を克服するための具体的方策

「オーバーキャパシティー」に打つ手はあるか

外国人観光客の増加に伴い、トラブルも続発しているという。「観光公害」から街や住民を守るために、どのような対策を取ればいいのでしょうか?(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)  
右肩上がりで増加する訪日外国人観光客。2018年度はついに3000万人を超えたと見込まれているが、京都をはじめとする観光地へ観光客が殺到した結果、トラブルが続発している。
オーバーキャパシティがもたらす交通や景観、住環境などでの混乱を見て、京都在住の東洋文化研究者アレックス・カー氏は「その様相はかつての工業公害と同じで、もはや観光公害だ」と警鐘を鳴らす。
その危機感を起点に世界の事例を盛り込み、ジャーナリスト・清野由美氏とともに建設的な解決策を記した『観光亡国論』から、観光公害に苦しむ京都の最新事情と、取るべき対策について紹介する。

京都を脅かす「オーバーキャパシティー」

京都の銀閣寺はアプローチがすばらしいお寺です。総門を越え、右手に直角に曲がると、椿でできた高い生垣に挟まれた、細く長い参道が続いています。俗世間から離れた参道を歩くことで、これから将軍の別荘に入っていくのだ、という期待感が高まるように緻密に設計されています。

しかし現在、総門を折れて最初に目に入るのは、参道を埋め尽くした観光客の人混みです。生垣の内側に人がひしめく様子を見ると、外の俗世間のほうが、まだ落ち着いているぐらいに思えてしまいます。

名所に人が押し寄せるという「オーバーキャパシティー」の問題は、世界中の観光地が抱える一大問題です。京都市内も例外ではなく、各所にそれが生じています。

例えば20年前には、京都駅の南側に観光客はそれほど流れていませんでした。伏見稲荷大社も、境内は閑散としていたものです。しかし今は、インスタ映えする赤い鳥居の下に、人がびっしりと並ぶ眺めが常態化しています。

ここまで観光客の数が多くなると、傍若無人な振る舞いをする人の数も増えてきます。

伏見稲荷大社では、マナーの悪さに辟易した門前町の店が苦情を言ってきても、神社側としてはどうしようもありません。

神社側にとっては外国の小銭が入った賽銭箱は、選別するのに労力がかかるし、両替もできません。お寺は拝観料を取ることで、ある程度の調整ができますが、神社の多くはそうしていません。伏見稲荷大社の観光客過剰問題は、なかなか解決しにくいものと思われます。

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