入居希望者が続々集まる「茶山台団地」のすごみ

DIY工房やニコイチ住戸で若年層を惹きつける

工房の運営にはDIYショップが協力している。その経営者は「DIYをもっと身近に感じてもらえる機会を模索していましたが、このような場所があると若い人たちが気軽にこの世界に入ってもらえます。ですので、私たちにとっても参考になる取り組みです」とうれしそうに語っていた。

とくに筆者が驚かされたのが、子ども連れの若い夫婦が予想以上に多いことだった。団地というと高齢化や過疎化、老朽化が進行し、大変住みにくい環境と考えられ、敬遠されがちなイメージがあるからだ。

また、リノベーション物件でDIYなどにより自分らしく暮らすことが、若い世代に着実に浸透しつつあることも強く印象づけられた。なお、この工房は団地住民以外でも活用できるとのこと。そのため、周辺地域の分譲マンションで暮らす夫婦も参加していた。

原状回復義務がない

DIYに前向きな若年入居者が多いのは、同団地の供給を担ってきた大阪府住宅供給公社を中心とした取り組み「団地カスタマイズ制度」(2017年1月開始)によるところが大きい。同制度は入居者に原状回復義務がなく、好みに合わせて内装を変えられるというものだ。

もう1つ、特徴的なのが「ニコイチ」だ。集合住宅型団地建物には内階段タイプで各階2戸あるケースが多いが、2つの住戸をつなげ1戸としたリノベーション物件である。2戸分で約80m2となる。

とはいえ、構造上、壁を抜けないケースもあり、この場合は玄関とベランダで行き来することになるため、一見すると住みづらそうな間取りである。このタイプの住戸にお住まいだという若い夫婦に住み心地について聞いてみた。

「慣れれば問題ありません。子どもが増えたり成長したりしたら団地から引っ越さなければいけないと考えていましたが、このタイプの部屋ができたことから団地内で引っ越しをして住み続けています」と言う。

ニコイチ住戸には子ども連れの夫婦が数多く見学していた(筆者撮影)

ちなみに、取材当日に公開されていた4階のニコイチ住戸の月額賃料は7万2000円で、エレベーターがないため階数が増すほど低く設定されているという。周辺の民間の賃貸住宅に比べて低賃料なのも若い入居者を引きつける要素の1つなのだ。

公社では、高齢世帯には低層階にある従来の間取り、若年世帯には高層階のニコイチ住戸への入居を勧めるという工夫を行っているとのことだ。

ニュータウンはもともと、学校や公園、豊かな自然などの住環境が整備されている。加えて、上記のような工夫をすることで若い子育て家族を団地に引き寄せているわけだ。

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