日経平均2万1000円回復でも全く消えない懸念 市場は連銀にも米中交渉にも期待しすぎだ
2018年までのアメリカ経済は、極めて堅調だった。まず好調な雇用情勢により、1人当たり賃金上昇率は前年比で3%を超えてきている。これが小売売上高(店舗販売とネット販売の合計)を押し上げ続けた。
加えて、鉱工業生産は2016年3月まで減少傾向にあったが、世界経済の同年前半を底とした成長率回復によって、アメリカから諸外国に対する輸出が息を吹き返し、生産水準も最近まで増勢をたどった。つまり、昨年までのアメリカ経済は「内需小売も、外需製造業もよい」という、しっかりした状況にあった。こうした元々好調な経済に、2018年初からの法人減税が、さらに上乗せされた。
いよいよアメリカ経済は好調の反動が始まった?
とすれば、かえってその好調さの反動が、2019年に大きく生じるのは自然だと言える。実際先週は、政府機関閉鎖の影響で公表が遅れていたいくつかの経済指標が発表され、好調さからの反落が始まったように思われる。
具体的には、2月14日(木)発表の12月の小売売上高は、前月比で1.2%減少し、驚きを呼んだ。また翌15日(金)には1月の鉱工業生産が公表され、市場では前月比で増加すると予想されていたにもかかわらず、0.6%も減少した。つまり、前述の2つの好調な部門が、下方に屈折し始めているわけだ。
住宅関連統計や自動車販売台数は、これまでの連銀による利上げを受けたローン金利上昇によって(住宅の場合はこれまでの価格上昇で手が届きにくくなっていることもあり)、すでに頭が重い展開に入っている。従って、これからアメリカ経済が全面的に減速へ(さらには後退へ)突入してくる可能性が高まったと懸念される。
企業収益をみても、2月9日(土)付の日本経済新聞の報道によれば、アメリカの調査会社リフィニティブが集計した、同国主要企業の1~3月期の1株当たり利益のアナリスト予想平均値は、1月1日(火)時点の集計値である前年比5.3%増から、2月8日(金)時点では同0.1%減に、大幅に下方修正されたとのことだ。1~3月期が実際に前年比で減益となれば、3年ぶり(2016年の世界同時株安時以来)のことと報じられている。
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