それでも日経平均1万6000円を予想する理由 市場は再び「先行き」を楽観し過ぎている
足元の主要国の株価は、持ち直し基調を強めている。昨年12月を中心とした世界株安には短期的に売られ過ぎの部分もあったため、それが解消に向かっていると解釈される。
「短期売られ過ぎ」がいったん解消に向かったワケ
売られ過ぎだったと考える背景は、主に以下の3つの理由による。
(1) 何からの数値をもとにして機械的にプログラムが売りを出す、アルゴリズム取引が株安の主役だという説がある。株価指数先物が、そうしたプログラムによって、株価指数の先行きの変動率を示唆するアメリカのVIX指数や日本の日経VI、移動平均線など、何らかのテクニカル指標や、さらには米5年国債と2年国債の利回り逆転など、さまざまなデータに基づいて売られた可能性がある。
(2) アメリカでは、アップル、アマゾン、フェイスブックなど、一部の「有望銘柄」に物色が集中し、その行き過ぎが反動を生じたと考えられる。
(3) 日米ともに予想PER(株価収益率)をみると、過去の推移と比べてかなり低く、現時点では「まだ」堅調な企業収益と比べ、売られ過ぎが示唆されていた。
このように考えてみると、当面は昨年末にかけての短期売られ過ぎの反動による日米等での株価上昇が、もう少し続くかもしれない。
ただし、昨年12月の株価下落は、売られ過ぎの部分もあったが、そうでない部分もあった。「そうでない部分」とは、これから本格化すると懸念される、アメリカの景気の悪化を、株式市場が先行して織り込み始めたことだ。
どういった要因でアメリカの経済が後退期入りすると考えているかについては、筆者の考えは全く変わっていないし、当コラムではもう何度も述べたので繰り返さない。読者の方は、筆者の過去のコラムをご参照いただければ幸いだ。
こうした見解が正しければ、昨年生じた株価下落は、アメリカの景気悪化を織り込み「始めた」第1幕に過ぎず、これから本格的に同国発の世界経済悪化を反映した第2幕、つまり株価下落の本番が来るだろう。引き続き中期シナリオとしては、今年央の日経平均株価として、1万6000円前後(「前後」の幅はかなり広い)を予想する。
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