日経平均が「再び暴落する日」はありえるのか 個人投資家はまだ疑心暗鬼になっている
前回のコラム「2019年の年初めに『買うべき株』とは何か」では、「株価は昨年末で底を打ったのか」として、幾つかの底入れシグナルを紹介した。①日経平均株価の総合カイ離、②騰落レシオ、③東証1部の時価総額、④ネット裁定残のマイナス等だ。
多くの投資家が疑心暗鬼になっている
その後、日経平均は2万円を回復したにもかかわらず、多くの投資家はまだ疑心暗鬼で、「底を打った」と見る投資家は少数だ。わかりやすいテクニカル指標でいえば、25日移動平均線の値(2万0814円、11日現在)さえも越えることが出来ずにいる。
その理由は少なくとも2つある。1つがジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の政策変更が中途半端であることだ。米中両国は貿易戦争を戦い抜くために、自国の体力強化の内需喚起策を取っている。それは自国の経済が不調な中での他国との紛争は、国民の支持を得られないからだ。
そのような、米国にとって覇権を掛けた重要な戦いを続ける、言わば「有事」の環境の中でパウエルFRBは量的なテーパリング(緩和縮小)を含めた利上げ政策を取って来た。ドナルド・トランプ大統領の怒りは、「何を考えているのだ」とのツイートに現れているが、今まさに戦闘状態にある自国に対し、「平時」の経済理論で足を引っ張るパウエルが「信じられない!」となる訳だ。
さすがに、新年3日のNYダウが、アップルの「ミニショック」もあるが660ドル(約2.8%)安、ナスダックも202ポイント(約3.0%)安となって、パウエルも「自身の地位へのリスク」を感じたのだろうか。翌4日の討論会では「必要なら政策を大幅に変える準備が常にできている」と発言を一変させ、利上げ停止だけではなく、FRBの資産縮小ペースについても考慮する方針を言明した。
その後9日に公開された昨年12月18・19両日のFOMC(米公開市場委員会)の議事要旨でも、すでに複数のメンバーが将来の利上げを忍耐強く判断するよう促したことが示されていた。ところが、10日になってワシントンで行われたエコノミッククラブで、パウエル議長はFRBが保有資産を大きく縮小する方針を改めて表明した。僅か1日でハト派方針を「後退」させたのだ。
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