日経平均が「再び暴落する日」はありえるのか 個人投資家はまだ疑心暗鬼になっている
FRBの資産は、連続的QE(量的金融緩和)によって2014年秋に4.5兆ドルに達したが、それによりアメリカ経済は世界に先駆けて回復し、好調な経済を手に入れた。その後は2017年秋から月100億ドルの資産縮小体勢へ移り、順調なソフトランディングも予想されていた。
しかし、縮小ペースは当初余計画通りとはいうものの、昨年秋から月500億ドルに増加しており、対中覇権戦争という有事では、明らかなオーバーペースとなり、景気経済に負担をかけている。先見性のある株価は、NYダウとS&P500だけは弱気相場突入と言われる高値(終値ベース)から20%下落の1歩手前で止まったが、ナスダックは完全に弱気相場に入る23%以上の下げとなった。その後のクリスマス底からの回復は、ひとえにパウエルFRB議長のハト派的政策変更によるところであるのは明らかだ。
米中覇権戦争に勝つためには、利上げ停止だけでは不十分で、資産縮小ペースも「有事」に合わせなければならない。パウエル議長は株価が出している信号に気づくべきだ。
一方、日本に対する資金の動きも、外国人投資家動向を見れば明らかで、現物先物合わせたそれは、昨年1年間の約13兆2000億円の売り越しに表れている。少なくとも消去法的には最も安定し、世界の資金の逃げ場とも考えられる日本への対応は、相場観と言うよりも、ダブついていた資金が縮小に向かう、カネ対株のバランスが崩れた分の売り物であることも明らかだ。少なくともパウエル議長は、1年をかけて月100億ドルから500億ドルに高めた資産縮小ペースを、覇権戦争に勝つためにも緩め、400億ドル、300億ドルと逓減すべきだ。
2016年のように「もう一回ダメ押し」はあるのか
投資家が疑心暗鬼になっているもう1つの原因は、日本の投資家そのものにある。取材を進めるとわかるが、多くの投資家が「今回の下げが2015年から16年のチャイナショックと共通する動きをするのではないか」と考えているフシがある。
確かに日経平均は2015年に当時の天井を打った後、チャイナショックで急落。その後は2016年2月に底を打って戻しに入ったかに見えたが、4カ月後の6月に再び下げて安値を更新した。つまり、この2点底からのその後の大幅上昇が今回あるかどうかは別にして、今回も「もう1度ダメ押しがある」と言うのだ。2016年と同じく4か月後ならば、それは2019年3月後半で、決算の下方修正と相まって、その懸念を訴える投資家が多いのは当然かも知れない。
しかし筆者に言わせれば、日本の市場は先行きの企業収益の低下、来年度2020年3月期の減益まで織り込んでおり、強力な消費税対策もある中で、日本企業の業績はそこまで悪くはならず、ダメ押しはないと見る。強気派投資家にとってはもう少し我慢の時かも知れないが。
こうしたことを勘案、今週の日経平均予想レンジは2万円~2万0500円とする。株価は上がりたがっているように見えるが、支援材料に乏しく、レンジ内のモミ合いを予想する。
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