日経平均2万1000円回復でも全く消えない懸念 市場は連銀にも米中交渉にも期待しすぎだ

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ところが、やはり昨年の株価下落がトラウマになっているためか、強硬派の要望にかかわらず、トランプ大統領は「とにかく米中間の妥協を、そして交渉成果が出たとの口実が欲しい」と「手打ち」を急ぐ姿勢にある。

大統領は、3月1日になっても追加関税の引き上げを行なわず、しばらく引き上げ期限を先延ばしして(今のところ、2カ月の延長が囁かれている)、その間に次官級・閣僚級の交渉を行ない、あわよくば米中首脳会談にこぎつけて妥協をしよう、という意向のようだ。これが、市場で米中通商摩擦があまり深刻にならないとの期待につながり、株価を押し上げている。

しかし、強硬派はこうした大統領の弱腰の姿勢を容認するのであろうか。肝心要の、知的所有権侵害や技術移転の強要に対する改善を中国側に強く求め、さらに中国がその約束を確実に守るよう、具体的な監視策をも中国に約束させよう、というのが、強硬派の求めるシナリオだ。これに中国が反発し、協議が難航する恐れは十分残っている。

また強硬派は、2000億ドル分の対中輸入に対する関税について、10%のままで協議を続けるのではなく、予定通り3月1日に25%に引き上げ、「10%に戻してほしければ、きちんと譲歩しろ」と中国に迫りつつ協議を続行するべきだ、と大統領に進言していると聞く。とすれば、やはり足元のアメリカの株価の動きは、楽観に過ぎる恐れがあると言える。

財政も今後のアメリカ市場の懸念要因に

また財政に関しては、2月15日(金)が暫定予算の期限で、また政府機関の一部閉鎖になってしまうのではないか、との懸念があった。しかし実際には、与野党間で「大統領の意向は無視して、とにかく政府機関の閉鎖は避けたい」との意向が優先され、メキシコとの国境の「壁」建設予算を少額しか盛り込まない本予算が議会を通過した。予算案は大統領の署名を得ないと発効しないが、トランプ大統領は署名することに決定し、政府機関の閉鎖は回避された。この閉鎖回避が、足元の市場で好感されている部分もある。

ただし、「壁」に固執するトランプ大統領は、非常事態宣言を行ない、他の予算項目から壁建設の予算をねん出すると発表した。これに対し野党民主党は「非常事態宣言の有効性について提訴する」と語っている。

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