Adjustを考える際に注意したいのは、変えることと変えないことを決めることです。うまくいかないからといって、全面的にいっぺんに変えてしまうと、何が功を奏したのかがわからなくなり、学びを得られないからです。何が重要なのか、どれくらいが最適値なのかを突き止めるには、細かいメッシュで微調整を粘り強く繰り返すことが必要です。粘り強さがないと毎回ゼロリセットになってしまい、学びが積み上がりません。
私はさまざまなWebメディアに寄稿させていただいていますが、圧倒的なPVを誇るメディアはこの積み重ねを細かく丁寧にやっており、学びの蓄積量に他社と大きな差があるように感じます。
記事の内容、ボリューム、タイトルやキーワードのつけ方、掲載する曜日や時間帯、炎上しないための工夫などが細かいレベルで蓄積されているのです。これらは粘り強く微調整を繰り返すことでしか見えてこない学びであり、この積み重ねが競争優位性を作っているわけです。
Adjustを考える際には「三現主義=現場・現物・現実」を意識しましょう。三現主義とは、現場に足を運び、現物を手に取り、現実を直視することを大切にする考え方です。
PDCAは机上であれこれと空論を考えるものではなく、実際に動いて得られた学びによって改善していきます。良質な学びは実行した人だけが手に入れられるものです。「うまくいかなかったからゼロリセット……」ではなく、細かく粘り強く微調整のActionを考えてみましょう。
一歩踏み出す勇気が必要
うまく行っている場合には、Planを上方修正するChallenge Actionを考えます。期日を早めたり、目標を上げたり、対象範囲を広げるなど挑戦的、野心的なActionです。やってみて「これはイケる!」と手応えをつかんだのであれば、加速することで、ブレーク・スルー(突破口)につなげていきます。
このChallengeの見極めは勇気が必要です。ここでPlanにこだわりすぎてしまったり、一歩踏み出す勇気が持てないと、ブレーク・スルーの機会を逃してしまいます。Planは大切ですが、その通りにしなくてはいけないということではありません。
PDCAを回していくうちに、ブレーク・スルーが起こり、ステージが上がると、それまで見えていなかった景色が見えてきます。するとそれまでのPlanに固執することは無意味になります。ブレーク・スルーはPDCAを回していったときのご褒美のようなものです。しっかりと実行と学びを積み上げていくと、ある日ステージが変わる瞬間が来るのです。
かつて私はプレゼンが苦手でしたが、地道にスキル向上のPDCAを回していたところ、それまで苦労して一つひとつ実行していたことが気がつくと苦がなくできるようになっていました。そこで、プレゼンの研修開発をするという次のステージに上がったわけです。
当初のPlanでは、研修講師などまったく考えておらず、大きなChallengeでしたが、やってみると自分のノウハウが体系化され、さらに自分のプレゼンスキルが向上できました。教えるということはChallengeですが、それによって得られたことは、とても大きかったのです。
不確実性の高い事業開発や業務改善などでもここでChallengeして次のステージに行くべきところというタイミングが来ます。ステージアップはPDCAの醍醐味ですので、勇気を持ってChallenge Actionを考えましょう。
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