「英語は小さい頃に始めた方がいい」という誤解

やみくもに幼少期に始めても意味がない

一方、「外国語環境」で学ぶ場合、小学生と中学生を比べてみても、小学生が有利という調査結果は聞いたことはありません。ヨーロッパでの調査によると、8歳の小学生グループと11歳、14歳、18歳から始めたグループとで長期にわたって比較調査した結果、第二言語環境と同じように、年長者のほうが速いという結果が出ます。

言葉の数についても、先に学び始めた小学生にすぐに追いついてしまうそうです。第二言語環境と異なり、小学生が有利でないのは、外国語環境では圧倒的にインプットの量が少ないからだといえます。

日本で子どもが英語を学ぶ場合、外国語環境になりますから、早ければ早いほどいいという論理は正しくないと考えていいでしょう。ほかに早くに始めたほうがいいといわれている例も考えてみましょう。

英語学習の「臨界期」はあるのか

「臨界期があるから英語は早くから習ったほうがいい」ということもよく聞きます。「臨界期」とは、生後のある一定の期間に身につけたほうが効果的で、それ以降だと身につかない、といった考えです。この考えはあくまでも仮説で、言語習得には個人差がありますから、近頃では「言語獲得の敏感期」と呼ぶ研究者も増えています。

海外で活躍する野球選手やサッカー選手、日本に来日する相撲の力士などの例をみてみると、外国語は年齢に関係なく成人になってからでも身につけられることがわかります。どのような環境で、どのような目的や動機をもって身につけるのかによって、外国語の習熟度は変わってくるといえるでしょう。

「小学校英語が始まるから早くから準備しなくては」と、入学前から心配されている親もいらっしゃいます。大人も経験したことのない英語科は、どのような教科なのかほぼ知られていないのが現状です。

先日、都内の公立小学校で5、6年生の英語授業を見学しました。その小学校では英語専科の男性教諭がとても熱心で、さまざまな手法を取り入れて授業は進んでいき、子どもたちの発語は活発で、45分間の授業はあっというまでした。先生の熱意は子どもたちに確実に伝わり、「(英語の授業は)楽しい~!」と子どもたちは笑顔で答えていました。

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